冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
少し照れたように言う。

『俺と同じ』という言葉を、日奈子は反射的に違うと思う。

彼が自分を大切に想ってくれていたのはよくわかった。でも日奈子の方はもっとずっと長く彼に恋焦がれている。

「同じじゃない。私の方が宗くんよりも前から宗くんに恋してたんだから。だけど、私も大奥さまの言葉は知っていたし、お母さんと同じように間違えて理解していたから一生懸命隠してただけ」
 
彼のTシャツをギュッと掴み、日奈子は彼に訴えた。どれほど長い間自分が彼を好きだったか知ってほしかった。

「お屋敷を出た一番の理由はね、宗くんから離れたかったからなの。すぐそばにいて、気持ちを抑えるのがつらかったから。……なるべく顔を見ないようにしようと思って……」

「そうだったのか。だからあんなに頑なだったんだな」

「うん……遅番の時の迎えはありがたいけど、すごく複雑で……」
 
話し出してみると言わなくてはいけないこと、謝らなくてはいけないことがたくさんあるような気がして日奈子は思うままを口にする。

「私、嫌な態度ばっかりとってた。……ごめんなさい」

「いや、それはまったく気にする必要はない。日奈子がどんな気持ちだろうと、俺のやることは変わらないんだから。だけど……つらかったな。日奈子も結局は万里子さんと同じで九条家に振り回されているような気がする」
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