冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
申し訳なさそうに言う宗一郎の言葉に、日奈子は首を横に振った。
「ううん、私、お屋敷で育ったことにすごく感謝してる。幸せだって思う。母ひとり子ひとりでも全然寂しくなかったんだもん。宗くんや奥さまがいたからだよ」
言いながら、日奈子の頭に彼との思い出が駆け巡った。
「私が宗くんに恋してるって気がついたのは、高校生の時だったの。駅でね、宗くんと綺麗な女の人が歩いているのを見かけて……腕を組んでた。あの人が宗くんの彼女なんだって思ったら、胸が苦しくてたまらなくなったのよ。それで私が宗くんを好きな気持ちは、恋なんだって思ったの」
どんなに消し去ろうとしても決して消えなかった宗一郎への想いを口に出すのははじめてだ。
今までずっと閉じ込めていた分、一旦蓋を開けると、溢れて止まらなくなってしまう。
「この気持ちはダメなんだ、誰にも知られちゃいけないって思うのに、宗くん、どんどんカッコよくなるんだもの。私、すごくつらかった。大学受験の時も勉強をおしえてやるって言ってくれたのにすぐに頷けなかったのも気持ちを抑えられなくなるからだったの。時々、仕事から帰ってきてスーツ姿のまま見てくれたりしたじゃない? 普段の服装でもドキドキするのに、スーツなんて着てたら、私勉強どころじゃ……、つっ⁉︎」
そこで日奈子の唇を、宗一郎が親指で優しく押さえた。まるで日奈子の言葉にストップをかけるように。
宗一郎が困ったような表情で、理由を説明する。
「ううん、私、お屋敷で育ったことにすごく感謝してる。幸せだって思う。母ひとり子ひとりでも全然寂しくなかったんだもん。宗くんや奥さまがいたからだよ」
言いながら、日奈子の頭に彼との思い出が駆け巡った。
「私が宗くんに恋してるって気がついたのは、高校生の時だったの。駅でね、宗くんと綺麗な女の人が歩いているのを見かけて……腕を組んでた。あの人が宗くんの彼女なんだって思ったら、胸が苦しくてたまらなくなったのよ。それで私が宗くんを好きな気持ちは、恋なんだって思ったの」
どんなに消し去ろうとしても決して消えなかった宗一郎への想いを口に出すのははじめてだ。
今までずっと閉じ込めていた分、一旦蓋を開けると、溢れて止まらなくなってしまう。
「この気持ちはダメなんだ、誰にも知られちゃいけないって思うのに、宗くん、どんどんカッコよくなるんだもの。私、すごくつらかった。大学受験の時も勉強をおしえてやるって言ってくれたのにすぐに頷けなかったのも気持ちを抑えられなくなるからだったの。時々、仕事から帰ってきてスーツ姿のまま見てくれたりしたじゃない? 普段の服装でもドキドキするのに、スーツなんて着てたら、私勉強どころじゃ……、つっ⁉︎」
そこで日奈子の唇を、宗一郎が親指で優しく押さえた。まるで日奈子の言葉にストップをかけるように。
宗一郎が困ったような表情で、理由を説明する。