冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
日奈子の方も最後には自分から彼を求めたのだから、日奈子がくたくたになってしまったのは彼だけのせいとも言えないだろう。
 
そんなことを考えて黙り込む日奈子に、宗一郎がふっと笑う。そして、トレーを自分の膝に置いた。

「どれから食べる? パンケーキ? サラダ?」
 
まるで、食事を食べるのに助けが必要な小さい子に言うかのように問いかける。
 
日奈子は目を丸くする。

「じ、自分で食べれるよ……!」

「うん、だけどやらせてほしい。今日だけは、日奈子のことを全部やりたいんだ。日奈子が俺のものになったって実感したい」
 
だからって食事まで、なんてどうかしてると日奈子は思う。

でも答えられないうちに、宗一郎はナイフを手に取りパンケーキを日奈子が食べられるくらい小さく切った。

「日奈子はパンはジャムだったな。パンケーキもジャムか?」

「え? えーっと、……うん」
 
頷くと、彼はパンケーキにちょうどいいくらいのベリーのジャムをつけている。

その表情が今まで見たことないくらい幸せそうで日奈子の胸がキュンと跳ねた。
 
そんな姿を見ていたら、それ以上嫌とは言えなくて、日奈子は差し出されたパンケーキをパクリと口に入れた。
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