冷徹ホテル王の最上愛 ～天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました～
「お、お義母さん」

「きゃー！　嬉しいわ」
　
敬子がテンション高く声をあげて日奈子の手を握る。
　
宗介が「おお！」と言ってこちらへやってきた。

「ひなちゃん、俺も俺も」

「ええ⁉︎　だ、旦那さまはちょっと……まだ言えそうにありません。だって旦那さまは、私の勤務先の社長でもありますから」
　
日奈子がごにょごにょ言うと、そのやり取りをそばで見ていた莉子が、思わずといった様子でふふっと笑う。
　
敬子と目が合い慌てて謝った。

「申し訳ありません」
　
敬子が思い出したように口を開いた。

「あなたが、ひなちゃんと入社以来ずっと親しくしてくださっているお友達ね？　今日は介添人をしてくださるっていう」

「はい。東田と申します」

「やっぱり！」
　
敬子が彼女に向き直り丁寧に頭を下げた。

「ひなちゃんが、いつもお世話になっております。お話は予々聞いておりました。もっと早くご挨拶しなきゃと思っていたんですけど、ひなちゃんが私たちとのことを会社では秘密にしておきたいと言うので、遅くなってしまいました。今後とも、ひなちゃんをどうぞよろしくお願いします」

「はっ……！　あ、こ、こちらこそどうぞよろしくお願いします……」
　
突然の敬子の行動に、莉子は目を白黒させて頭を下げている。
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