冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「お義母さん、私も大丈夫です。宗くんと結婚できるなんて、夢みたいなんです。ふたりで必ず幸せになります!」
 
胸の中をいっぱいに満たしている幸せな思い、それをそのまま口にすると、敬子が一旦口を閉じる。そしてにっこりと笑った。

「宗一郎は、幸せ者ね」

「母さん。エントランスに山田さんがお見えになっているようだ。ちょっと俺は行ってくる」
 
宗介が携帯の画面を確認しながら言う。どうやら重要な招待客が到着したようだ。

「そう? なら、私も行くわ」
 
敬子が答えて立ち上がった。

「式の開始までには戻るわね」
 
そう言い残してふたりは部屋を出ていった。
 
宗一郎がやれやれというように肩をすくめて日奈子の隣に腰を下ろす。目を細めて日奈子を見つめて、柔らかく微笑んだ。

「想像していた以上に綺麗だ。そのドレスよく似合うよ」

「あ、ありがとう……」

「父さんと母さんがいてくれてよかったよ。でなかったら見た瞬間に抱き上げてスイートルームに直行だった」
 
冗談を言う宗一郎に、日奈子はくすくす笑う。

「もう……」

 そして自分も彼に対する感想を口にする。
「宗くんこそ、今日は特別カッコいい。フォーマル姿、見慣れてるはずなのに、どうしてかな?」
 
この日のためにあつらえた黒いモーニングコート姿の彼は、日奈子には世界一番カッコよく思える。

こんなに素敵な人が自分の旦那さまになるなんて幸せすぎてまだ信じられないくらいだ。
 
でもそれよりも日奈子が嬉しく思うのはこんな風に、彼への気持ちをそのまま口にできることだった。
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