冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
だが今回は別だろう。なんといっても相手は世界的なスーパーモデルで、かつ鳳家のご令嬢なのだ。
……いい加減この気持ちに区切りをつけたいと切実に思う。
彼の縁談が現実味を帯びたら、つらい思いをするのは目に見えている。その前に彼への想いを消し去りたい。
新しい出会いがあれば、別の誰かを好きになり彼への気持ちが変わるかもしれない、そう思い参加したのである。
でも今のところあまりうまくいっていない。この場を楽しむことすらできていないのだから。
慣れない空気に、少し息が詰まるような心地がして、日奈子は一旦席を立つ。
手洗いでメイクを直しながら、時間を潰していると、莉子がやってきた。
「日奈子、大丈夫? 飲み過ぎた?」
「お酒はそんなに飲んでないから大丈夫。でもちょっと、疲れちゃって。心配かけてごめんね」
「ううん、私こそ、ちょっと強引に誘っちゃったから。でもいい雰囲気だったじゃん。どう? 高木さん」
莉子が自分もメイクを直しながら、鏡越しに日奈子を見た。
「高木さん?」
「そう、都銀に勤めてるって言ってた人。お堅い職業だし見た目もいいから、きっと今日の一番人気だよ。私から見たら彼は日奈子をロックオンしてるように思えたけど」
「そ、そんなことないよ。確かに話しやすかったけど……」
件の男性は、初対面の相手になにを話せばいいかわからない日奈子に気を遣ってか、仕事の話をしてくれた。紳士的でいい人だったと思うけれど、どうと言われてもコメントに困る。
「話しやすい……それだけ?」
「う、うん……。もちろんカッコいいと思う」
……いい加減この気持ちに区切りをつけたいと切実に思う。
彼の縁談が現実味を帯びたら、つらい思いをするのは目に見えている。その前に彼への想いを消し去りたい。
新しい出会いがあれば、別の誰かを好きになり彼への気持ちが変わるかもしれない、そう思い参加したのである。
でも今のところあまりうまくいっていない。この場を楽しむことすらできていないのだから。
慣れない空気に、少し息が詰まるような心地がして、日奈子は一旦席を立つ。
手洗いでメイクを直しながら、時間を潰していると、莉子がやってきた。
「日奈子、大丈夫? 飲み過ぎた?」
「お酒はそんなに飲んでないから大丈夫。でもちょっと、疲れちゃって。心配かけてごめんね」
「ううん、私こそ、ちょっと強引に誘っちゃったから。でもいい雰囲気だったじゃん。どう? 高木さん」
莉子が自分もメイクを直しながら、鏡越しに日奈子を見た。
「高木さん?」
「そう、都銀に勤めてるって言ってた人。お堅い職業だし見た目もいいから、きっと今日の一番人気だよ。私から見たら彼は日奈子をロックオンしてるように思えたけど」
「そ、そんなことないよ。確かに話しやすかったけど……」
件の男性は、初対面の相手になにを話せばいいかわからない日奈子に気を遣ってか、仕事の話をしてくれた。紳士的でいい人だったと思うけれど、どうと言われてもコメントに困る。
「話しやすい……それだけ?」
「う、うん……。もちろんカッコいいと思う」