冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
話をしながら駅までの道を行く。でも途中、小さな交差点まで来たところで彼は足を止めた。
「あっちの通りにさ、知り合いがやってるBARがあるんだ。よかったらふたりで飲みなおさない? さっきは鈴木さんとあまり話せなかったから」
駅まで送ると言ったはずの突然の彼の言動に、日奈子は混乱しながら首を横に振った。
「え? ……でも、もう遅いから……」
「少しだけだよ。それに明日は休みなんでしょう?」
「だけど私……」
飲み会の会場で見せていたと同じように彼は紳士的に微笑んでいる。
でもその中に混ざる少し違った雰囲気を、日奈子は本能的に怖いと思う。
反射的に彼から離れようとしたところ、肩を抱かれて引き寄せられた。
「え……⁉︎」
「ほら行こう」
すぐ近くで聞こえる彼の声と、強く掴まれた腕の感触に日奈子の背筋が粟立った。
「ちょ……! 困ります、私」
「鈴木さん、ずいぶん真面目みたいだけど、冒険も大事だよ。俺がいろいろ教えてあげる」
不穏な言葉を口にして、彼は日奈子の了承も得ずに歩きだそうとする。
「嫌……!」
日奈子が抵抗したその時。
突然男の腕が外れてふたりは引き離される。思わず目を閉じて次に開いた時、高木から日奈子を守るように宗一郎が立っていた。
高木がよろめき、体勢を立て直してから宗一郎に向かって声をあげる。
「あっちの通りにさ、知り合いがやってるBARがあるんだ。よかったらふたりで飲みなおさない? さっきは鈴木さんとあまり話せなかったから」
駅まで送ると言ったはずの突然の彼の言動に、日奈子は混乱しながら首を横に振った。
「え? ……でも、もう遅いから……」
「少しだけだよ。それに明日は休みなんでしょう?」
「だけど私……」
飲み会の会場で見せていたと同じように彼は紳士的に微笑んでいる。
でもその中に混ざる少し違った雰囲気を、日奈子は本能的に怖いと思う。
反射的に彼から離れようとしたところ、肩を抱かれて引き寄せられた。
「え……⁉︎」
「ほら行こう」
すぐ近くで聞こえる彼の声と、強く掴まれた腕の感触に日奈子の背筋が粟立った。
「ちょ……! 困ります、私」
「鈴木さん、ずいぶん真面目みたいだけど、冒険も大事だよ。俺がいろいろ教えてあげる」
不穏な言葉を口にして、彼は日奈子の了承も得ずに歩きだそうとする。
「嫌……!」
日奈子が抵抗したその時。
突然男の腕が外れてふたりは引き離される。思わず目を閉じて次に開いた時、高木から日奈子を守るように宗一郎が立っていた。
高木がよろめき、体勢を立て直してから宗一郎に向かって声をあげる。