冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
学校が終わると即習い事へ向かうという日々の中で、わずかな日奈子との時間が宗一郎を癒した。
『宗くん、すごいねえ』
彼女はいつもそう言って、大きな目をキラキラさせて宗一郎を見るのだ。
たいていは、たわいもないことだ。パズルを手伝ったとか駒回しをおしえたとか。
でもそうやって彼女に全力で肯定してもらえることが、その時の宗一郎にとっては必要不可欠なことだった。
日奈子の存在なしに、あの時期を乗り越えられなかっただろう。
とはいえ、ふたりがある年齢に達するまでは彼女に対する気持ちは、歳の離れた妹に対する愛情だったことは間違いない。
日奈子が誰かと付き合うなら絶対にいい加減な男は許さない、俺が選ぶと思っていたくらいだから。
そんな自分が彼女を女性として愛していると気がついたのは、彼女の母が亡くなった後だった。
万里子の死は日奈子だけでなく、宗一郎にも大きな喪失感をもたらした。厳しすぎる祖母からの仕打ちを陰でフォローしてくれたのは万里子だったからだ。
もうひとりの母というべき存在を失った寂しさは言葉では言い表せない。
だがそれよりもつらかったのは悲しみに打ちひしがれる日奈子の姿を見ることだった。
もう一度彼女が心から笑える日がくるならば、なにをひきかえにしてもかまわない。
そのために人生をかけろと言われたら喜んでその通りにする。
なにより決定打となったのは、日奈子を心配した両親の会話だった。
『宗くん、すごいねえ』
彼女はいつもそう言って、大きな目をキラキラさせて宗一郎を見るのだ。
たいていは、たわいもないことだ。パズルを手伝ったとか駒回しをおしえたとか。
でもそうやって彼女に全力で肯定してもらえることが、その時の宗一郎にとっては必要不可欠なことだった。
日奈子の存在なしに、あの時期を乗り越えられなかっただろう。
とはいえ、ふたりがある年齢に達するまでは彼女に対する気持ちは、歳の離れた妹に対する愛情だったことは間違いない。
日奈子が誰かと付き合うなら絶対にいい加減な男は許さない、俺が選ぶと思っていたくらいだから。
そんな自分が彼女を女性として愛していると気がついたのは、彼女の母が亡くなった後だった。
万里子の死は日奈子だけでなく、宗一郎にも大きな喪失感をもたらした。厳しすぎる祖母からの仕打ちを陰でフォローしてくれたのは万里子だったからだ。
もうひとりの母というべき存在を失った寂しさは言葉では言い表せない。
だがそれよりもつらかったのは悲しみに打ちひしがれる日奈子の姿を見ることだった。
もう一度彼女が心から笑える日がくるならば、なにをひきかえにしてもかまわない。
そのために人生をかけろと言われたら喜んでその通りにする。
なにより決定打となったのは、日奈子を心配した両親の会話だった。