冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
動きだした心で
ピリリリと携帯のアラーム音が鳴ったのを聞いて、日奈子は寝返りを打つ。うっすらと目を開くとカーテンの隙間から明るい光が差し込んでいる。
時刻は午前九時、今日は休みで特に予定はないけれど起きるべき時間だ。
本当はまだ寝ていたい。一週間よく働いた上に、昨日はレセプションもあったから、身体の疲れが取れていないのだ。
——でも。
《日奈子は、休日は起こさないといつまでも寝ています。休みの日も目覚ましをセットして九時頃には起きた方がいいんじゃない? でないとなにもしないで一日が終わるよ》
青いノートの母の言葉を思いだし、日奈子はむくりと起き上がった。
目をこすりながらベッドを出て、ふらふらとキッチンへ行き、朝食の準備をする。
《日奈子は朝は食欲がないから朝食は温かいスープがいいと思う。目が覚めるわよ》
母が生きていた頃は、よく日奈子が好きなカボチャのポタージュを作ってくれて、それが日奈子の朝ごはんの定番だった。
今も母のレシピで何日かに一度作り、ストックしてある。
温めて座卓で啜っていると少しずつ頭がはっきりして、昨日の宗一郎との出来事が頭に浮かんだ。
チェストの上の母の写真を直視することができなかった。
彼からの再度のプロポーズを保留にしたことを叱られるような気がするからだ。
時刻は午前九時、今日は休みで特に予定はないけれど起きるべき時間だ。
本当はまだ寝ていたい。一週間よく働いた上に、昨日はレセプションもあったから、身体の疲れが取れていないのだ。
——でも。
《日奈子は、休日は起こさないといつまでも寝ています。休みの日も目覚ましをセットして九時頃には起きた方がいいんじゃない? でないとなにもしないで一日が終わるよ》
青いノートの母の言葉を思いだし、日奈子はむくりと起き上がった。
目をこすりながらベッドを出て、ふらふらとキッチンへ行き、朝食の準備をする。
《日奈子は朝は食欲がないから朝食は温かいスープがいいと思う。目が覚めるわよ》
母が生きていた頃は、よく日奈子が好きなカボチャのポタージュを作ってくれて、それが日奈子の朝ごはんの定番だった。
今も母のレシピで何日かに一度作り、ストックしてある。
温めて座卓で啜っていると少しずつ頭がはっきりして、昨日の宗一郎との出来事が頭に浮かんだ。
チェストの上の母の写真を直視することができなかった。
彼からの再度のプロポーズを保留にしたことを叱られるような気がするからだ。