冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
そうしないと気持ちを止められなくなってしまうから。それこそ青いノートのメッセージを見てからは、彼と会うのが怖いとすら思うようになったのだ。
 
日奈子にとって恋とはずっとそういうものだった。
 
でも複雑な事情がなければ、宗一郎の言うことの方が自然だ。

「……そうか、そういうもんだよね」
 
思わずそう呟くと、宗一郎が驚いたように日奈子を見て瞬きをする。

そして次の瞬間噴き出した。そのままくっくと肩を揺らして笑っている。

「宗くん?」

「いや、安心したよ。日奈子に今好きな奴がいないっていうのは本当みたいだ」
 
とんちんかんなことを言う日奈子への感想を口にする。

恋する気持ちの基本的なこともわからないのが、好きな相手がいない証拠だと思ったようだ。

「だけど、別の意味で不安になってきた」

「……別の意味で?」

「ああ。そもそも日奈子に"兄に対する好き"と、"男に対する好き"の区別がつくのかなって。……俺はもしかしたら、不可能なことに挑戦しようとしてるんじゃないかって気になってきた」
 
そう言ってまだ笑っている。からかうような言葉に、日奈子は思わず言い返す。

「わっ……わかるよ! そのくらい」
 
宗一郎が疑わしいという表情になった。

「どうかな。全然説得力がない。だいたい日奈子、恋をしたことがあるのか? まさか初恋もまだなんじゃないだろうな?」
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