冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
宗一郎が眉を寄せてチーフを見る。チーフがあわあわと口を開いた。
「遅番の人手が不足しておりまして……彼が申し出てくれたので、本日だけ例外的に入ってもらいました」
もちろん嘘だ。立場の弱い二年目の彼にチーフから要求した。そしてそれは宗一郎はお見通しのようだ。矢継ぎ早に質問する。
「人材が足りない? スタッフの人数には余裕があるはずだ」
「こ、今月に入って急にふたり同時に辞めてしまって」
「急にふたりも?」
「ほ、報告は次の定例会であげる予定でした」
「退職理由は……いや、ここからは別室で話そう」
そう言って彼は、男性スタッフに視線を送る。
「君は今すぐ帰るように。超過した勤務は本社の方で処理するからタイムカードは必ずつけなさい」
そして次に日奈子を見た。
「彼が抜けた分は……」
「大丈夫です。本日のお客さまの数ならば残りのスタッフで十分に対応可能です」
日奈子がすかさず答えると、彼は頷き、最後にチーフに視線を戻した。
「では君はミーティングルームへ」
そう言って、真っ青になるチーフを連れて事務所を出ていった。静かにドアが閉まったと同時に室内にいた社員がホッと息を吐いた。
「遅番の人手が不足しておりまして……彼が申し出てくれたので、本日だけ例外的に入ってもらいました」
もちろん嘘だ。立場の弱い二年目の彼にチーフから要求した。そしてそれは宗一郎はお見通しのようだ。矢継ぎ早に質問する。
「人材が足りない? スタッフの人数には余裕があるはずだ」
「こ、今月に入って急にふたり同時に辞めてしまって」
「急にふたりも?」
「ほ、報告は次の定例会であげる予定でした」
「退職理由は……いや、ここからは別室で話そう」
そう言って彼は、男性スタッフに視線を送る。
「君は今すぐ帰るように。超過した勤務は本社の方で処理するからタイムカードは必ずつけなさい」
そして次に日奈子を見た。
「彼が抜けた分は……」
「大丈夫です。本日のお客さまの数ならば残りのスタッフで十分に対応可能です」
日奈子がすかさず答えると、彼は頷き、最後にチーフに視線を戻した。
「では君はミーティングルームへ」
そう言って、真っ青になるチーフを連れて事務所を出ていった。静かにドアが閉まったと同時に室内にいた社員がホッと息を吐いた。