冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「じゃあ、行ってみよう。ここから近いみたいだし」
 
宗一郎がそう言って日奈子の手を取り、コンビニには入らずに方向転換する。

「確か公園はあっちだったな」
 
歩き出す彼に、目を丸くしつつ、ついていきながら日奈子は彼を呼びかける。

「ちょっと宗くん!」

「キッチンカーが出てるから、昼ごはんは公園で食べればいいよ」
 
マーケットへ行くのも昼ごはんを向こうで食べるのも賛成だが、日奈子言いたいことはそれではない。

「そうじゃなくて……!」

「どうかしたか?」

 宗一郎が足を止めた。

「えーと……」
 
言いながら日奈子は繋いだ手に視線を送る。自分の手を包み込む大きな手の温もりに心臓がドキドキと大きな音を立てていた。
 
はずみで繋いだ手がそのままになっていると知らせたい。けれどどう言えばいいのかわからなかった。
 
日奈子の視線を追いかけて、手元を見た宗一郎には言いたいことが伝わったようだ。彼は繋いだ手を少しだけ上げた。

「嫌?」

「い、嫌じゃないけど……」
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