冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
公園に着くと、まずはキッチンカーで食事を取ることにした。

ガパオライスとポテトフライ、デザートに冷やしリンゴ飴をテイクアウトして、芝生広場のベンチに座る。

吹き抜ける風が心地よかった。こんな風に外で食事をするのは随分久しぶりだ。

「いただきます」
 
日奈子は手を合わせて、ガパオライスの上の目玉焼きを崩して下のひき肉を絡め、ぱくりと口に入れる。

「美味しい」
 
素直な言葉が口から出た。そのままスプーンが止まらなくなる。

午前中、羊毛フェルトに集中したからお腹はぺこぺこだ。
 
一方で宗一郎は自分はすぐに食べずに日奈子を見つめている。
 
日奈子は首を傾げた。

「宗くんは食べないの?」

「いや、食べるよ」
 
手を合わせて、彼も食べはじめた。

「へえ、俺ガパオライスってはじめて食べたけど美味いもんだな」

「ね、すごく美味しいんだね」
 
日奈子は相槌を打つ。

ピリッと辛いひき肉と卵の黄身が絡んで、エスニック料理だけど食べやすい。あっという間に半分ほどがなくなった。

「日奈子も食べるのははじめてか?」
 
宗一郎に尋ねられて、日奈子はスプーンを持つ手を止めて瞬きをした。

「……ううん、はじめてじゃない」
 
それどころかすでに何度も口にしたことがある。
 
同僚の莉子がアジアン料理好きだからだ。一緒に出かけた際、レストラン選びを任せると大抵はそういうお店になる。
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