グリーンピアト物語り ~光と愛~
闇に光を
 
 グリーンピアト城へ。
 大きな門をくぐり、長いアーケードのような道を進むと、お城の玄関にたどり着く。

 玄関に続く階段には、数名の使用人が並んでおり、ルキアス様を乗せた車が到着すると、彼らは丁寧にお辞儀をして迎える。

 後部座席のドアに近づいてきたのは、初老の紳士だ。
 黒いスーツをビシッと着こなし、姿勢が良く、がっちりとした体格の彼は、お城で仕える執事ブルッドである。
先代の国王の時代から仕えているベテラン執事だ。

「お帰りなさいませ、皇子様」
 ドアを開け、ルキアスが降りると、ブルッドは手を取り、共に歩き始める。
「ブルッド、サフィーネは?」
「はい、お部屋で国王様と遊んでおられます」
「そうか…」

 いつもよりも嬉しそうなルキアスの表情を見て、ブルッドは少し驚いていた。

 サフィーネとは、5年前にお城の前に置き去りにされた子供だ。
 春の良い気候の中、お城の門前に置き去りにされていた赤ん坊がいた。
 目撃者はおらず、誰が置いていったのか不明で、探しても誰の子供か分からず、施設に送られることになっていた。しかし、ルキア スが引き取りたいと申し出て、その子供を引き取った。
 彼が着ていたベビー服には「サフィーネ」と糸で書かれており、それが生みの親が付けた名前だと判断され、その名で呼ばれることになった。
 元気な男の子で、美しいブロンドの髪と透明感のある白い肌を持つ。
 目の色はルキアスと同じ紫色だ。
 
 赤ちゃんの頃はルキアスの赤ちゃんの時とそっくりと言われていたそうだ。


「サフィーネ」
 ルキアスが部屋に入ってくると、元気な男の子が走って来た。
「お帰りなさい、お父さん」
 走っていたサフィーネを抱きとめると、ひょいと抱き上げたルキアス。
「ただいま、サフィーネ」
「お父さん、今日はすごく元気になったね」
「ああ、とても良い事があったからね」
「え? そうなの? 」

 ルキアスとサフィーネが笑い合っていると、ゆっくりと歩み寄って来た国王アディールがいた。
「お帰りルキアス」

 ルキアスとよく似た顔立ちだが、キリッとした彫の深い威厳のある目元に優しい口元。
 背丈はルキアスより少し低めだが長身で、ガッチリしている。
 紺色のスーツがとてもよく似合っていて、国王様であっても親しみやすい感じの人だ。
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