グリーンピアト物語り ~光と愛~
帝国ホテルは会員制で、特別な人のみが利用できる高級ホテルです。1階のカフェには個室があり、重要な会議を行う人々もいます。
最も奥にある個室で、アディールとサフィーネは待ち合わせの相手を待っていました。
サフィーネは子供らしい服装で、Tシャツにジーンズ、スニーカーを身に着け、美味しそうなプリンをゆっくり味わっていました。アディールもカジュアルな青いシャツに紺色のジーンズ、白いスニーカーを履いていました。
こうして見ているとアディールはとても若々しく、サフィーネといると親子のように見える。実際のところサフィーネはお城の前に捨てられていた赤ちゃんで、アディールとは血の繋がりがないのだがどこから見ても似ている部分が多くあるのが不思議だ。
「失礼します」
ウェートレスが近づいてきた。
「お連れ様が到着されましたので、ご案内いたします」
ウェートレスが静かに退室すると、ゆったりと歩いて入ってきたのはイーシスだった。
仕事帰りの彼女は、ピンクのブラウスに黒いスラックス、そして黒いパンプスを身に着けていた。
長い髪で顔は隠れているが、このように見るとイーシスは非常に品があり、魅力的な女性だった。
「お待ちしておりました、どうぞ」
アディールは向かい側にイーシスを招き入れた。
イーシスは静かに頭を下げ、アディールの向かいに座った。
サフィーネは食事を中断し、イーシスをじっと見つめた。
「わざわざお越しいただき、ありがとうございます」
アディールはふとイーシスの右手に目をやり、驚いた表情を浮かべた。
「おや、右手が綺麗になっていますね?」
「あ…」
イーシスは左手で右手をしっかりと覆い隠した。
「良かったですね。火傷と傷跡が綺麗になくなりましたね。これで、あなたの本来の技術を発揮できますね」
「はい…」
「もう、本当のあなたに戻る時が来ましたよ、ウィンディア…」
ウィンディアと呼ばれ、イーシスは口元をきゅっと引き締めた。
「何も心配しなくていい。もう、貴女は自由です」
「え?」とイージスは驚きの表情でアディールを見つめた。
目が合うと、アディールは優しく微笑んだ。
「彼は貴女を欺いていたことが明らかになりました。」
「欺いていたって、どういうことですか?」
「あなたの父、ガレッティアは手術ミスをしていなかったのです。」
「え?」
「間違いを犯したのはハイルドン男爵の息子でした。」
イーシスは突然の出来事に頭が真っ白になり、呆然とした。