オイスターガール

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あの日から4年……

 私は人前で喋る事が出来ない高校生。
 
 家族とは喋る事が出来る。
 
「優ご飯よー!」
 「はーい、今行くから待って!」
 
時刻は夜7時
階段をゆっくりノシノシと私は降りていく
 
 この匂いはまさか!私の大好物の……
 
「今日は優の大好きなカレーよ。」
「待ってました……この日を!」
 
 私はカレーが宇宙一好きと言っても嘘ではないほどの無類のカレー好きだ。
 
「お父さん今日残業遅いから私たちで先食べちゃいましょう」
「わかったー」
「いただきます」
 
 熱々のカレーを胃に流し込む。
 
 これこそ人生の祝福。
 私の家はお父さん、お母さん、私の3人家族だ。
 
 私は早々に手を合わせてカレーをどんどんかき込もうとすると
「そういえば優、明日から高校生だけど上手くやって行けそうなの?」
「大丈夫だよー美雪ちゃんと一緒の高校に行くからね
 初めから友達いるから安心だよー」
「そう、それならよかったけどもし何か困った事があったらすぐ言いなさいね」
 「あとノートを忘れないでしっかり持ってくように!」
「心配性だなーお母さんは!私にとってそれは必需品みたいなものだから絶対忘れないよー」
 
あの日小学校の学芸会で突然人前で喋れなくなった私は、その後直ぐに病院へ行った。
 
 その結果は
「原因がわかりません、なにかストレスが強くかかっているのが原因だと思います。」
 と真剣な顔で答えられた。
 
 原因が不明じゃ、解決方法がないということで
 
 その後幾つもの病院を回った。

 結果判明した診断結果は場面緘黙症。
 
 家などでは普通に話す事が出来るがそれ以外の学校などでは声を発する事が出来ないという状態のことというのが分かった。
 
 現在の私は自分の家と家族以外の前では声を発する事が出来ない。
 
 だから学校などではノートに文字を書いて会話をしている。
 
 最初は戸惑いもあったが親友の美雪ちゃんのおかげで中学校を無事卒業する事が出来た。
 
 もちろん喋る事が出来ない私をからかってくる人もいたが
「私の前で優ちゃんになんかしたらしばくぞ!」
 といつもいてくれる美雪ちゃんのおかげもあり、からかってくる人は少なくなった。
 
 そんな私と美雪ちゃんは偏差値も同じくらいなので一緒の高校へ進学することになった。
 
 高校でも美雪ちゃんがいるから安心だ。
 私は晩御飯を食べ終わった後
 お風呂に入り、歯磨きをした後
 明日の入学式に備えて準備をすることにした。
 
「ノートは絶対もつ!それに筆記用具、ファイルと
 よし準備OK!」
 
 明日から新しい高校生活が始まる。
 
 不安な気持ちは少しはあるが私は目を閉じ、
 眠りに落ちた。
 
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