その狂愛からは、逃れられない。
そんな中でも、二人は密かに想い合っていた。お互いの気持ちは知らなかったため、どちらも自分の片想いだと思っていたが。
結ばれる事が無いのはわかっていながらも、幼い頃から持ち続けてきたその想いは、そう簡単に無くなるものではなかった。
しかし成長するにつれ、いつしか蓮華は自分の運命に失望し、さらに光と関わる中でその可愛らしい顔から表情を無くした。
そして光は、蓮華に対する想いと欲、そしてそれは叶うことは無いという絶望とストレスを他の女性に向けるようになってしまったのだった。
ある日、光に呼ばれた蓮華が光の部屋の扉を開けると、中では嬌声が響いていた。
一糸纏わぬ姿の見知らぬ女性と、キスを交わす上半身裸の光の姿。
それを見て、蓮華は目を見開いて言葉を失った。
それは、久しぶりに光の前で蓮華が表情を変えた瞬間だった。
そして数秒後、その表情は絶望に歪む。
ショックだった。苦しかった。好きな人が他の女性と体を重ねようとしている。そんな姿、見たくなかった。
光はそんな蓮華を見て、たちまち口角を上げた。嬉しかったのだ。
部屋に蓮華を呼んだのは、わざとだった。
蓮華が自分に嫉妬している。蓮華の頭の中を自分の存在が支配している。それが、たまらなかった。
蓮華の表情を崩すことができるのは、俺だけだ。
そんな、歪んだ想いを持つようになってしまった。