その狂愛からは、逃れられない。



光の歪んだ恋心と、それに振り回される蓮華の毎日。


そんな日々が数年続き、二人が二十歳になったある日。




「……お見合い? 私が?」



蓮華に、見合い話がきたのだ。


相手は三芳家とも交流がある同じ旧財閥の三男。


歳は二人より一つ上。


そのお見合いは、両親が蓮華のためを思って探してくれた縁談だった。


昔から蓮華が光を想っていたのを知っていた両親は、蓮華が不憫でならなかった。


光の女癖の悪さは次第に知れ渡り、蓮華がその都度大きなショックを受けていたことを知っていた。


畑谷家にいる限りは、三芳家からは逃れられない。


だから、解放してあげたかった。


それには蓮華が他所の男性と結婚するしかない。そう思った両親が、縁談を持ってきてくれたのだった。



「わかりました」



自分に選択権は無いから。そう言って二つ返事で了承した蓮華は、お見合いの準備を始める。
光には何も言っておらず、縁談が進んで結婚が決まったら言うつもりでいた。


───しかし、何故かバレてしまったのだ。


そして今日、そのお見合いの前日。


明日のために早く寝ようと思っていたのに。


蓮華は三芳家の中にある自室で寝ようとしていると光に半ば強制的に連れ出され、部屋に押し込まれ。手錠を掛けられて今、冒頭に戻る。

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