ずっとあのままでいられたら

第36話 約束の日2

「・・・これは詐欺ですか?」

「は?違います」
「ひとまずご同居されているあなたに確認とお伝えする必要がありましたのでお電話いたしました」
「病院は〇〇ってところにありますので、すぐにお越しいただけるとです」
「その際本人確認を〜〜〜〜」

意味が分からない。理解もできない。
警官と名乗る人の後半の話はもう覚えていない。

なんではるかが・・・
しかも交通事故・・・
さらに意識不明・・・
どうゆうこと。

信じられない。

そんなことを何度も何度も言い聞かせながらもすぐに家を出た。


病院までは車で10分ほど。

タクシーに乗って向かう車内。
何かの間違いだろうと、はるかのスマホに何度も電話をした。
LINEもした。

けど、既読も着信にも出ない。

その状態が、警察を名乗る人が言っていたことが本当かのように思ってしまいパニックになる。

「いや、、いや絶対違う」
「なにかの間違いだ・・・」

約束の時間になっても家にいないはるか。
戻ってこないはるか。

言い聞かせたことも、その考えられない状態が事実のように思えてしまう。

「…はやく、、はやく」

真実を確かめたくて・・・
間違いだと信じたくて・・・


病院に着いた。

バッ
ダッダッダ…

お会計を済まし駆け足で向かった。


ハァハァハァ
「あっあの!」

病院の受付で確認をした。

「患者さまのお名前とかお伝えできません」
「ですが、ちょっと前に交通事故で運ばれた方がいらっしゃいますので、別の人かもしれませんが〇〇の病室のほうに行ってみてください」
「そちらにまだ警察の方がいらっしゃいますので」

「わっわかりました」

ダッダッダ…
急いで言われた病室に向かった。


ピンポーン
ダッダッダ…


言われた病室に向かうと、警官が3人ほど立っていた。

ダッダッダ…
「はぁはぁはぁ、あの!」

「あっ・・・もしかしてゆうまさんですか?」

「はい、そうです」

「私、お電話した〇〇です」

「あっあの、どうゆうことですか!?」

「ひとまず、落ち着いてください」

「…はい」

「まずは、病室にお入りください」

ガラガラガラ…

「…」

スタスタスタ…

神妙な表情の警官より誘導され病室に入った。


病室の奥。
まだお医者さんと看護師さんが2人ほどベットに横になる人になにかをしていた。

タッタッタ

「!!!!・・・・」

病室の奥、先生の背中越しに見えた人。


はるかだった。


「はるか!!!!」

駆け寄るも、看護師さんに止められた。

「ゆうまさんでしょうか?」
「落ち着いてください」

「はるか・・・はるか」

そこには、頭は包帯でグルグルにされており、顔は切り傷だらけのはるかがいた。
横には輸血するための器具に、心肺を計測する機械。
口元には酸素を送る機械などがある。


見たことのない光景。
そして確かにはるか本人だった。


まさかなと思っていた現実。
頭が真っ白・・・

「…私はるかさんの主治医となる〇〇と言います」

「…」

「4時間ほど前に病院に意識不明のまま搬送されてきました」
「それから手術などをして〜〜〜〜」

なにも耳に入ってこない。

「〜〜〜」
「それで、車に跳ねられた際に頭を強く打ってしまったようでして・・・」
「心肺や呼吸などはなんとか復帰できたものの、いつ目が覚めるかは祈るしか・・・」

「・・・」




その後警察から事情聴取や事故の状況などの説明をされた。
なにを聞かれたのか、話したのか覚えていない。

だけど、最後に話された事を聞いて涙した。

「それですね、はるかさんの所持品を見ると何か買い物をされていたようでして」
「買い物の用事のため自宅を出て、その帰りに脇見運転をしていた〇〇が運転する大型の車に撥ねられてしまったようです」
「これ、はるかさんの持ち物でお間違いないでしょうか」

現物はなく写真を見せられた。
そこには、はるかがよく使っていたお出かけ用の茶色のカバン。
それに、僕がプレゼントしたお出かけ用の靴。
それと、買い物をしたであろうものが数点。

「これらは、はるかさんのものでお間違いないですか?」

「・・・はい」

「それと…これを・・・」

スッ…

小さな二つ折りの紙を差し出された。

「こちら・・・」
「こちらに記載があったのがあなたのお名前でしたので、ご住所から調べさせていただきお電話をいたしました」

「……」

その二つ折りの紙を開いて見た。




ゆうまへ
今日は来てくれてありがとうね。
あと、連絡してくれて、予定を作ってくれてありがとう。

私から色々話したいことがたくさんあるんだけど・・・
これまで無理をさせてしまっていて…
そしてそれに気がつかないまま、ゆうまを傷つけてしまっていてごめんなさい。
いつも笑顔でいてくれたゆうま、支えてくれていたゆうま。
あなたがいてくれたから私がいました。

あらためてちゃんとお話しするから・・・

こんな私だけど、ずっと側に居てくれてありがとうね。
そして、これからも側に、横にいて欲しいです。
これからはちゃんとゆうまの事を支えられる私になるから…

ゆうまの事、今もこれまでも、そしてこれからも大好きです。

はるかより




「はるか……..」
「うぐぅ、、、くっ・・・・」

小さな手紙を持ったまま、泣き崩れた・・・


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