狐火


やっと1時間をかけて殿城に来た。


そこからは、兄様、殿様の元へ走って行った。


ガラッと襖を開け、中に入ると、力が抜け、ガクンと落ちた。


皆がビックリし、視線は沙雪に集まった。


「こら沙雪!静かに入って来なさい!」
と兄様に小声で、怒られた。



兄様は、城では柳と呼ばれている。



「ははは…よか柳、今日は多荷物よのぅ…、皆今日は撤収じゃ!」


「殿様…しかし、大事な話の最中で…」


「柳!私は沙雪が1番大事なのじゃ…のぅ?沙雪…」


「うん!沙雪は殿の1番なのじゃ!」


柳は、「はぁ…」と溜息をつき、沙雪の荷物を降ろしてやった。


「おい!お茶の準備を…」

と殿が言う。

「今日の菓子は何なのじゃ?」


「今日は、水飴と言う飴じゃ!沙雪の口に合うかの?」


薬と、野菜を渡し、
お茶の準備が出来るまで、父様に指摘された言葉の話、夕焼けの話、
色々な話を殿様にした。


「ははは!そうじゃのう…女娘のような言葉を教えなければな…!」



柳が、
「まったく、殿様を殿と呼ぶのは沙雪くらいだぞ?」



「よいのじゃぞ…」


「そうじゃ!!よいのじゃぞ!」
と沙雪は無邪気に笑う。




やがて日が暮れて来た。

「柳、明日は休め、」

「殿様何故ですか…?」

「久々に家に帰れ、こんな夕暮れ時に沙雪一人帰らせるのも…危ういからな。」



「兄様!久々に帰って来るの?」
「ああ帰るよ!行こうか、」

「馬に乗っていけ!その方が速かろう,」






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