狐火


「母様!父様!兄様が帰って来たのよ!!!」


二人ともこんな大きな声を出されるとは、思っていなかったから
ビクッ!としていた。

「そ、そうなの…?」
母様が言った。


また沙雪の眼が輝いた。


「姉様!姉様も帰って来てたの?!!みんな揃ったわ…」

すると、父様が
「おい!沙雪随分と女娘の口調になったな!」
とビックリしている。



「沙雪〜!会いたかった〜♪」
と姉様が言う。

「私も!姉様に会いたかったわ!」


また、姉様は沙雪に綺麗な反物や旅衣をくれた。


「旅衣は貰ったの、沙雪に調度良いサイズだからあげるわ!」

と機嫌良く姉様が言う。

私は、自分のタンスの中にゆっくりとしまった。





皆で食卓を終わり、
沙雪は兄様と姉様に甘えるようにして、布団の中で眠りについた。





「父様…明日からですね…」

「あぁ幸《母》よあの子にはつらいかな……」


「大丈夫ですよ…私の子だからね…」





私は夢を見た、霧でよく前が見えず、周りには木しか無くて、でも花の香りがする方へ…


やがて木が少なくなってきて、湖に出た。
そこには、
青、赤、黒、様々な色の光がフヨフヨと漂っている。


前が暗くなって、ピチャピチャ…と水の音しか聞こえなくなっていった。










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