狐火
キアラ
闇夜が迫ってきた頃、
「沙雪、冷えるから部屋に入りましょ…」
優しく肩にカーラ《和風上着》を
かけてくれた。
「ほら…息が白いわよ…」
暖をとっている部屋は、温かく、手足がじんわりと温まるのを感じていた。
「沙雪知ってた?あんた夕方まで寝てたのよ…」
姉様が言う
「うん…私兄様と姉様と遊ぼうと思ったのよ。でも…」
また沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは母様だった。
「沙雪…!今日見たあれは…」
「やめろ!幸!まだ…その時では!」
「でも!!でもいつかはやってくるのです。今がその時でなくても…だから!あと8年の間に!!」
「母様…!父様…!いいわ…話して、その…意味は解らないけど8年の間に出来る事があるって言う事を言いたいんでしょ?母様は、」
母様は静かにコクンと頷いた…。
「ねぇ父様…話しては駄目ですか…?沙雪自体いずれ知らなければならないことで…」
姉様と兄様、そして私が
母様と父様の言い争いを見ていた。