猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

そりゃあ、17歳の男の子だからね。
健全に?
普通にそういう思考にもなるよね。

私だって全くしないわけじゃない。
経験値がなさすぎて、二次元の知識しかないけれど。

いつも紳士的だから完全に失念してた。

「ここで話す内容じゃないっすね」
「……そうだね」
「出たら、また…」
「……ん」

大きな大会を前に、変な空気にはしたくない。

**

満開にはまだちょっと早いが、既に桜が咲き始めていて。
彼とライトアップされている桜並木を歩く。

「さっきの話の続きなんですけど」
「……ん」
「直球な質問、していいっすか?」

ピタッと足を止めた彼が、真剣な眼差しを向けて来た。

「また敬語口調だよ。……気を遣わなくていいって言ってるのに」

間接的に質問していいよという雰囲気を醸す。
『何でも聞いて』とは言えないけど、言い出しやすい雰囲気くらいは作れるから。

「キスは何回かしてるけど、……その先を、俺としたいと思ったことあります?」
「っ……」

本当に直球中の直球だよっ。

「先に言っておきますけど、俺、童貞なんで」
「ッ?!!」
「甘いムードとか、上手いテクとか求められても無理っすよ」
「……」

物凄いカミングアウトに、何て返せばいいのか分からない。

分厚い参考書を何十冊と攻略して来たけど。
こういう会話の返し方なんて、どこにも書いてなかったよ。

考えが纏まらず、視線が泳ぐ。
けれど、彼の視線は逸らされることなく、真っすぐと向けられていて。

あぁ、そうか。
こういうこと1つ1つが、彼の愛情だ。

「わ、私だって、……初恋で初彼なんだから、……可愛らしさとか色気とか求められても困るから」

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