猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
4月中旬。
ソメイヨシノが散り始め、新生活も慣れ始めて来た、そんな頃。
「香椎ちゃん、今日の夜空いてる?」
「へ?」
「俺ら、カラオケに行くんだけど、一緒にどう?」
歯学部に通う雫は、お昼休みに学食へ向かっていると、同じ歯学部の男子が声をかけて来た。
畑中 和人と吉田 博史。
少しチャラい印象がある。
オレンジに近い髪色。
複数開けられたピアス。
1メートル以上離れてるのに漂って来る香水の匂い。
さっちゃんと同じ種族のような雰囲気の男子二人だ。
「ごめんね、今日バイトがあって」
「バイト?何のバイトしてんの?」
「スーパーのレジ打ちだけど」
「えぇ~、イメージと全然ちがーう」
「……そう?」
私のイメージってどんなの?
3年間女子クラスだったこともあって、未だに男子との会話もぎこちないけれど。
虎太くんと会話してるおかげかな。
前に比べたら、話せるようになっている。
「お洒落なカフェバーとかで働いてるイメージだよ」
「え?」
お洒落なカフェバー。
何、そのキラキラしたハイレベルなワード。
あ、もしかしてバーテンダーが似合うとかかな……。
「何の話してんの?」
「園ちゃん」
購買にルーズリーフを買いに行った仲良しの宮北 園子が声をかけて来た。
「おっ、宮ちゃん。今、香椎ちゃんをカラオケに誘ってんだけど、宮ちゃんもどう?」
「今日?」
「そう、今日の夜」
「あ~ごめん、今日彼氏とご飯行く予定だから無理だ」
「えー彼氏いんの~?」
「いるよ~」