猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

匠刀くんの想い人『モモちゃん』は、心臓が少し悪いらしくて。
これまで何度も入退院を繰り返して来たらしい。

最近は状態も安定していて、その子が中学部から白修館の理系コースに進学を志望したのもあって、弟の匠刀くんはスポーツ特進科ではなく、普通科理系コースに入学したらしい。

好きな子のそばに、ずっと一緒にいたいから。

そんな風に思われたら、幸せだろうな。

「モモちゃんって、可愛い子なの?」
「顔っすか?」
「うん」
「……そうですね、妖怪学園に出てくる『野乃花』に似てるっす」
「妖怪学園の野乃花……って、めちゃくちゃ可愛い子じゃないっ!!」

妖怪学園というのは、人間だけれど妖怪に憧れを持つ女の子・野乃花が、妖怪学園に入学し、騙されたり脅されたり、命を狙われながらも悪戦苦闘して妖界に旋風を巻き起こす漫画。

くりくりっとした大きな目と、愛らしい笑顔がチャームポイントの女の子だ。

「匠刀の部屋に写真があるんで、持って来ましょうか?」
「見たい!!」
「じゃあ、ちょっと待ってて下さい」

隣りの部屋から持って来たアルバムには、超絶可愛い女の子・モモちゃんがいっぱい写っていた。

「匠刀くんの溺愛ぶりが目に見えるよ」
「でしょ?あいつ、モモちゃんのために空手してるし、モモちゃんのために夜遅くまで勉強してるし。あいつの脳内にモモちゃん以外何も無いっすから」
「……そうなんだ」

物凄い量の写真が収められているアルバム。
アイドルの写真をコツコツと集めたみたいな、そんな熱量を感じた。

私とは正反対の子。
小柄で華奢で病弱で、可愛くて色気がある。
こういう子が周りにいたら、男の子なら、絶対誰でも好きになりそうなタイプだ。

< 115 / 154 >

この作品をシェア

pagetop