猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

「先輩の子供の頃の写真なら、うちにもいっぱいありますよ」
「ッ?!!あっ…」
「っっ」
「ごめんっ、大丈夫?!」

自分の写真があるだなんて言うから、驚いて手元がびくついてしまい、ミルクティーを彼に零してしまった。
慌てて膝の上に乗せてあったタオルハンカチで拭く。

「ホントにごめんねっ。……火傷してない?キッチンから冷やすもの、持って来ようか?」
「っ……先輩」
「……ん?」
「俺の根性試してます?」
「え?……あっ」

まだ冷めきってないミルクティーを零してしまい、火傷してないか心配になった雫は、タオルハンカチで虎太郎の大事な部分周辺を必死に拭いていたのだ。

咄嗟に掴まれた手。
思わずぎゅっと目を瞑ったけど。
耳元で物凄く盛大な溜息を吐かれた。

「……ごめんなさい」
「もういいっすよ」
「……火傷してない?」
「大丈夫っす」
「でも、ちゃんと確かめた方がよくない?」

大事な部分なのに。
オリンピック前の大事な時期なのに、私が怪我させてどうすんのよ。

「じゃあ、先輩が確かめてくれます?」
「へ?……っっ」
「大丈夫じゃなかったら、責任取ってくれるんですよね?」
「っっっっ」

再び掴まれた手。
目を瞑ったままだから、逃げれなかった。

ぎゅっと目を瞑ってても、彼がどんな顔をしてるのか、想像がつく。
凄く楽しんでる顔だ。

穴があったら入りたい。
もうこういう時はどうしたらいいの?

すると、突然カチャカチャとベルトを外すような音が聞こえて来た。
音が艶めかしすぎるっっ。

片手は私の手を掴んでいるから、もう片方の手で外しているのだろうけど。
ますます目が開けれなくなった。
空いてる方の手で顔を覆い、赤面して動揺している顔を隠すと。

フフフッと鼻で笑う彼。
揶揄われているのは分かってるけど、さすがに目は開けれない。
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