猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

「おもクソかわいっ」
「っっ…」

ポンポンと頭が撫でられた。

「3分、待ってて下さい」
「ふぇっ?」
「シャワー浴びて来るんで」
「……ごゆっくりどうぞ」

チェストの開閉音がし、部屋から出ていく足音が聞こえて来た。
そーっと指の隙間から覗くと、彼がいないことを確認して、安堵する。

「もうっ、私は一体何をしに来たのよ」

**

「そろそろ、帰らないと」

壁掛け時計が18時になろうとしていて、そろそろご家族の人が帰って来るんじゃないかな?
さすがに図々しく夕食時間に上がり込んでるのも日が引ける。

虎太くんが買い集めたイケ活の戦利品のDVDや漫画を観て、あっという間に5時間も居座ってしまった。

脱いでいたデニムジャケットに手を伸ばそうとした、その時。

「まだ、帰したくないんすけど」
「んっ」

隣りに座る彼の腕に捕らわれた。
結局、ミルクティ事件のあとはぎくしゃくして。
いちゃいちゃはせずに、イケ活仲間として過ごしていた。

「せっかく、二人きりだったのに」
「………ごめんね」

全てがオールOKというわけじゃないけど。
さすがにキスくらいはしてもよかったかな?と思えた。

「あーマジで、うちに住んでくれたらいいのに」
「さすがにそれは…」
「じゃあ、泊まりに来てくれます?」
「っっ」
「何なら、今日泊まって行ってもいいっすよ?明日も大学休みだし」
「バイトがあるよ」
「じゃあ、バイトがない時ならいいんすね?!」
「……そういう問題でもないんだけど」
「えぇ~~っ」
「駄々こねないでよ」
「こねますよっ。テラスに行けば、いつでも会えたのに、もう先輩、学校にいないじゃないっすか」
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