猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
「おっ……」
「そんなマジマジと見ないでよ」
「いいじゃん、別に。俺しかいないし」
「……」
道着が乱れた時に上半身がちらっと見えたことが何回かあって。
当たり前のように、すごく鍛えてるんだなぁとは思ってたけど。
間近で見る彼の体は、想像していた以上に鍛え上げられた肉体美だった。
「もっとスポーティーな水着かと思ってた」
「似合わない?」
「いや、すげぇ似合ってる。っつーか、目に毒っつーくらい、エロさハンパねぇ」
「やだっ、変な目で見ないでよっ」
「そりゃあ見るだろ。彼女の初の水着姿なんだから」
1歩、また1歩と近づいて来た彼が、そっと手を握った。
紺色のホルターネックのビキニにボクサーショーツタイプのデザイン。
甘すぎず、控えめになりすぎず。
私らしさもちゃんと出るようにと、2時間もかけて親友2人が選んでくれたもの。
華奢な体つきではないから、胸はそれなりにある。
だから親友2人が、『胸は武器として出していこう』だなんて言ってたっけ。
「他の男がいなくて正解だった」
「っっ」
「ここなら、独り占めできるし」
熱いくらいの視線が胸元へと向けられる。
骨格がしっかりしてて、まだ結構筋肉もついてるのに。
こんな私でもちゃんと『女性』として、見てくれてる。
「筋痛めたら洒落なんないから、ストレッチしようか」
「…そうだね」
オリンピックを前にして、肉離れや腱を痛めたら取り返しがつかない。
それだけは絶対に避けないと。
プールサイドで軽い準備体操をする。
隆々に盛り上がった彼の筋肉に、ついつい目が行ってしまいそう。