猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)


「新婚旅行は、南国ビーチリゾートがいいっすね」
「まだ、ここ日本だよ」
「オリンピックなんて、あっという間っすよ」

昨日のブルーちっくな君は一体どこに行ったのかな?

結局、プールで水着はらり、お胸ぽろり事件は避けられたけど。
『メダルが取れたら、考えてあげる』と逃げのような返答で何とかかわした私。

はぁぁ……。
年下男子の猛攻には、とても対応しきれない。

結婚を承諾したわけでもないし。
プロポーズのプロポーズを受け入れたわけでもない。

少し前向きに検討すると言っただけなのに。

だけど、こんな私の一言で頑張る勇気が出るなら、幾らでも言ってあげたくなる。

「メダル取って帰国したら、私のことなんて忘れちゃうかも」
「は?」
「テレビの取材に雑誌の撮影、大学からのスカウトもあるだろうし、実業団からのスカウトだって来ると思うよ?」
「それと雫を忘れるのとは別問題だろ」
「それくらい忙しくなったら、会えなくなりそうだねって話だよ」
「………」

実際問題、今でさえ前ほど会えなくなってるのに。
これ以上有名人になったら、私のことなんてどうでもよくなりそうだよ。

「俺んちに雫が住めば問題解決じゃん」
「え……」
「毎日会えるし、オールクリアだろ」

何か問題でもある?的な顔をする彼。
もう、頭の中はそれしかないの??

虎太くんイケメンだから、全国からファンレターとか来そうだよ。
有名なアスリートにはファンクラブだってあるらしい。

メダルを取るのは全力で応援したいけど。
それと同じくらい。
ううん、それ以上に不安もある。

初めて好きになった人だから。
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