猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

「年下かぁ~」
「年下だと問題でもあるんすか?」
「問題と言うほどの問題じゃないんだけど…」

咲良とちとせの視線が、『恋愛初心者の相手が年下だとね~』と言ってるようで息苦しい。

「雫先輩、今付き合ってる人いますか?」
「直球だねっ」
「あっ、失礼だったっすかね?」
「いや、大丈夫だけどっ」

一応、先輩だから敬語のような口調にしてくれているのかもしれないが。
地の部分は体育会系のノリというか。
軽めな口調が所々に出ている。

「雫はフリーだよ。好きな子もいないみたいだし、ね?」

私への質問にさっちゃんが答えてる。
同意を求めるように話しかけられても、返答に困るよ。

そもそも、何でこんな質問をされてるのだろう?
昨日会ったばかりの人なのに。

「じゃあ、サイン下さいっ!」
「へ?」

突然目の前に紙が差し出された。

「俺の嫁になってくれませんか?」
「ぬおぉぉぉ~っ、直球どころか、剛速球で来た!」
「咲良、失礼だよっ」
「あっ、全然大丈夫っす。えっと、先輩方の名前、聞いてもいいっすか?」
「私は北島 咲良。彼女は天野 ちとせ。雫とは中学部から一緒で、親友させて貰ってます♪」
「北島先輩に、天野先輩っすね」
「え、何で苗字?咲良でいいよ?」
「いえ、そこはしっかりと線引きさせて貰います。雫先輩とは同列にできないんで」
「あぁ~、そういうことね。……(いい男じゃん)」

さっちゃんが耳元に呟いて来た。
何が何だか、私にはさっぱり分からない。

付き合ってもいないのに、告白を軽く飛び越え『嫁』って、何?
しかも、『サイン下さいっ!』って、コレ……婚姻届じゃない!!

この人、頭大丈夫?

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