猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
「着替えも……あるし」
「………ッ?!!」
まさか、そういうつもりで?!
今日、久しぶりのデートを満喫しながら、『こういう部屋着、似合いそう』だなんて言われて。
気をよくした俺は、彼女と色違いでその部屋着を買った。
まさか、今夜のパジャマ代わりの服になるだなんて、微塵も想像してなかったんだけど。
「大学で何かあったの?」
「へ?」
「雫がそういう心境になるの、ちょっと意外っつーか」
「……やっぱり私じゃ…」
「いや、そういう意味じゃなくて。なんつーか、……誰かに告られたとか?」
身持ちの固い雫が、あからさまな態度に出すにはそれなりの覚悟がいるのは分かってる。
『付き合う』ということですら、簡単に流されないタイプの人間なのは、身をもって知ってるから。
「ちょっと、座って話そうか」
流水を止め、彼女の手を取り、リビングへと移動する。
終始俯き加減の雫をソファに座らせ、隣りに腰を下ろす。
「誰かになんか言われたの?」
「……ううん」
「じゃあ、何?何もないのに、急に行動起こすとか、雫らしくないじゃん」
決断力があるのは知ってる。
いざという時は、本当に潔いほど肝が据わることも。
それが羨ましく思えるし、彼女を尊敬してる点でもある。
「……付き合い始めて結構経つし」
「………」
「虎太くん、……我慢してるでしょ?」
「なるほどな」
「……」
「俺に気を遣ってくれたってわけね」
「そういうわけじゃ……」
「けど、考えたんでしょ?」
「…………ん」
ホント、おもクソかわいすぎんだろっ。
年中発情期みたいに、結構あからさまに態度に示して来たけど。
今まで雰囲気に流されることもなく、鉄壁みたいなガードしてた人なのに。
いきなり全解除宣言って。
それ、軽く流せる案件じゃねーんだけど。