猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

三人の視線が雫に向けられる。

「……私も別に」
「マジっすか?!じゃあ、明日は持って来ます」
「素直でかわいいね」
「かわいいっすか?……言われたことないっすよ」

さっちゃんは本当に凄い。
誰とでも難なく会話ができちゃうのだから。

ちーちゃんはマイペースに黙々とうどんを口に運ぶ。
小さなおちょぼ口が一生懸命動いているのを見ると、思わず笑みが零れる。

えっ、何?
何で見てるの?
そんなにジロジロ見られたら、食べづらいんだけど。

雫の隣りに座る彼から、物凄い圧の視線を感じる。

「津田くん、質問していい?」
「はい、何でも聞いて下さい」
「雫のどこが好きなの?」
「全部っす」
「全部?」
「はい、全部」

さっちゃんの質問に躊躇することなく答える津田くん。
『全部』という日本語の意味をちゃんと理解しているのだろうか?

「それって、一目惚れってこと?」
「……そうっすね」

一瞬視線を逸らして、少し考えたような素振りを見せた。

「単刀直入に聞くけど、今まで付き合った彼女と、一番長くてどれくらい?」
「ちょっと咲良っ、さすがにその質問は…」
「あ、全然大丈夫っすよ、天野先輩。お気遣いありがとうございます」

さっちゃんのストレートすぎる質問にハラハラ、ドギマギしてしまう。
ちーちゃんは空気を読んでくれたみたいだ。

「今まで彼女ができたことがないんで、0日です」
「えっ、ホントに?その顔で、今まで誰とも付き合ったことないの?」
「はい、いないっすね。ってか、その顔って…」
「何で?どうして?」
「何でと聞かれても」
「でも、告られたことはあるでしょ?」
「まぁ、無いことはないっすけど」
「ん、正直でよろしい」

さっちゃんの質問にも間髪入れずに堂々と答える彼。
本当に誰とも付き合ったことないの?
……その顔で??
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