猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
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「ねぇ、やっぱりこれやめない?」
「だーめっ、雫は足が長くて綺麗なんだから、絶対似合う!」
「えぇ~、でも…」
「長身だと柄物って敬遠されがちだけど、小さなドット柄とか小花柄とかなら無地感覚で着られちゃうのが長身の一番のメリットだよ」
「……そうなの?」
「それに甘くなり過ぎないように、トップスは同色系でさっぱりと合わせれば、全体的に明るくスッキリとおさまるから」

土曜日の午前中。
雫の自宅に咲良とちとせが朝からやって来て、ネイルだのスキンケアだの、エステ?スパ??かと思うほど女子力アップ作戦なるものが行われている。

というのも、遡ること昨日の昼休み。
連日のように南棟のテラス(学食)に来た彼(津田くん)が、『休みの日は何をしてるんすか?』だなんて質問して来るから。
『雫はいつも家に引き籠ってるよ』と勝手に咲良が答えてしまったのが発端で。

『じゃあ、土曜日の午後、デートしませんか?』と、人生初のデートに誘われてしまったという流れ。
勿論、その場で『ごめんなさい』とお断りしたのにもかかわらず、咲良とちとせが『どうせ家で趣味に没頭してるだけだから、連れ出してあげて?』だなんて、要らんことを彼にお願いしてしまった。

午前中は自宅の道場で稽古があるとかで、午後1時半に駅で待ち合わせすることになってしまったのだ。

そんなこんなで。
朝から二人が自宅に押しかけて来て、あれよあれよという間に変身させられているというわけだ。

服はちとせの姉(葉月(はづき)大学2年)からお借りした物。
雫ほどではないが、身長169㎝と結構長身で、読者モデルをやっている。
長身女子が着ても綺麗に着こなせるコーデを熟知しているからだ。


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