猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
日曜日の13時半。
待ち合わせ場所である駅の改札口で待っていると、普段はストレートロングの髪がトレードマークの先輩が、珍しく三つ編み姿で現れた。
「ごめんねっ、遅くなって」
「全然大丈夫っす」
ふんわりと編まれた三つ編みは、普段のキリリとした先輩とは違う、フェミニンな感じ。
「髪、可愛っすね」
「あっ、……ありがと」
俺の言葉に照れた表情を覗かせる。
「出掛ける準備してたら、母が結ってくれたの」
「いいっすね。似合いますよ」
「っっ…」
今日、なんで呼ばれたのか。
どうして今の時期なのか。
受験が終わってからなら、飛び上がるほど嬉しい誘いなのに。
心の奥がギスギスして、変な警笛音を鳴らす。
「津田くん、猫大丈夫?」
「猫っすか?」
「うん。ちーちゃんお薦めの猫カフェ教わったの」
「いいっすね。俺、猫大丈夫っす」
「じゃあ、そのお店に行こうか」
天野先輩は獣医志望。
両親が獣医というのもあって、幼い頃から沢山の動物と触れ合って来たらしい。
最近はグリーンイグアナを飼っているいるらしく、ランチの時によくその話になる。
天野先輩お薦めの猫カフェは、3Dラテアートでも有名なカフェだった。
「本物の猫ちゃんも可愛いけど、ラテアートの猫も可愛いねっ」
「先輩がダントツっすけどね」
「え?何か言った?」
「いえ、何でもないっす」
トラ猫に夢中の先輩は、何度も頬ずりをしている。
俺にもしてくんねーかな。
俺も一応『虎太郎』で、トラなんすけど。