猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
⑨年の差は、一生埋まらない

12月に入ると、世の中はすっかりクリスマスムード一色になり、そわそわと浮足立っている雰囲気。
受験生である雫たちは、それぞれの塾の休みがたまたま重なり、久しぶりに駅前のLuna(ルーナ) piena(ピエーナ)に。

「真冬のジェラートってのもどうかと思ったけど、冬に合うメニューがちゃんとあるね」

冬場はどうしても敬遠しがちなジェラート屋さんだが、いつも店内には若い女の子がたくさんいる。

おしるこを少し固めたようなホットあずきがジェラートにかかっていたり、熱々のスフレのようなものにジェラートが添えられてたりするメニューが人気のようだ。

「雫、クリスマスどうするの?」
「どうするの?って、塾があるよ」
「そうじゃなくて」

さっちゃんが言いたいことは分かる。
ストレートすぎる彼の告白を受けて、少なからず心が揺らいでる。
ううん、もう既に彼のことがずっと気になってるといった方が正しいのか。

北棟の女の子たちが彼に告白しているという情報を聞いて以来、心の中がモヤモヤとずっとしてる。
今まで味わったことのない不安定な感情は、俗にいう『嫉妬』というものらしい。

ちーちゃんもさっちゃんも彼氏持ちだから、こういう感情は当たり前のようにあると教えてくれた。

ちーちゃんの彼氏 尚理くんが通う高専は、頭脳明晰な生徒が通うが、中には女の子もいるらしい。
勉強一筋のような理系女子が、爽やか好青年の尚理くんに惚れるのは当然の成り行きのようなもので。
何度か、『今日、告白されたんだよね~』と聞かされたのだとか。

ただ尚理くんに至っては『彼女以外に構っている余裕はない!』と断言するほど、ちーちゃんに骨抜きにされているのが凄いところ。

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