猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
一拍置くように深呼吸する。
「ただ『待ってて』だけじゃ不安なの。彼人気者だし」
「わかるよ~イケメンマッチョだしね」
「咲良、イケメンマッチョは関係ないでしょ」
「そう?女の子の大半が好みだと思うけど」
綺麗な顔立ちの王子様風であっても、やっぱり腹筋が割れてる方が魅力的ということだろうか?
そんなの、毎日筋トレしたらいいだけなのに。
「無償で『待ってて』は虫がよすぎると思って」
「……そんなことないと思うけど」
「雫はどうしたいの?」
私みたいなガサツでデカい女子を好きになってくれただけでも有難いのに。
大学受験を理由に、彼の気持ちを完全にシャットアウトしているのだから。
「約束手形みたいな、チケットの半券みたいな、そういうのを彼に何かしたいんだけど、どうしたらいいのか分からなくて」
ホットジャムがかかったジェラートが溶けてゆく。
器に添えてる手は冷たいのに、顔は火照ってるみたいで。
彼のことを考えるだけで、ドキドキする。
「クリスマスプレゼントにすればいいんじゃない?時期的にそれが一番いいと思うけど」
「そうだね!イベントに乗じて渡しやすいし、相手にも伝わりやすいし」
「例えばどんな物?」
「普通ならペアリングとかペアピアスとか、小物類が手っ取り早いけど、そういうのを着けるイメージゼロだよね」
「……ん」
『ペア』という言葉ですら抵抗がある。
けれど、状況を考えたらそういうものを差しているのかな。
「空手ってのは、手首に何か着けてたりしちゃダメなんだよね?」
「時計とかブレスレットみたいなってこと?」
「そそ」