猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)

「ピアスホール開けてって頼まれた津田くんが、ドキドキしながら雫の耳朶触るでしょ?」
「2人の息づかいが分かるくらい急接近するし、大事な雫に傷を負わせるわけだし、絶対悶絶するよ」
「ッ?!!」
「ピアスホール開けれなくても、それはそれでOKってことで」
「そそ、顔が今の私らみたいに急接近したら、絶対キスしたくなるからっ」
「ッ!!?」
「だから、雫がいう約束手形みたいなもんはさ、チュウしたら全部OKじゃんって話」
「っっっ」

恋愛経験値がハイレベルの2人に相談したのが間違いだったのかもしれない。
『付き合う』こと自体を先延ばしにして貰うのに、何故、キスに繋がるの?

ホント、意味わかんない。

「雫はしたくないの?」
「へ?」
「津田くんと、キス」
「ッ?!」
「見た目はがっつきそうな雰囲気だけど、あの手のタイプは絶対、優しいキスしてくるよね~」
「なっ」
「私もそう思う。ちゃんと雫のこと、考えてくれそう」
「デートした時だって、ガツガツしてなかったでしょ?」
「……」

言われてみれば、……そうなのかな。

陽射しを遮るように手を翳してくれたし。
手を繋いだ時も、無理やり引っ張ったりはしなかった。

いつだってエスコートするみたいに、そっと女の子扱いしてくれる。

「いいな~」
「いいよね~」
「うちらにも、こういうトキメキ感じる頃があったよね~」
「あったね~」
「何言ってるのよ、2人して」
「だってさ、長く付き合ってると、トキメキが薄らいでくるんだってば」
「たまに『えっ?』みたいなことはあるけど、お互いに知り尽くすとなぁなぁになるからね~」
「そーそー」
「だから、今感じてるそのドキドキ感だとか、きゅんきゅんする気持ちは大事にね」
「……ん」

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