猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
遂に言ってしまった。
丁寧に説明してから言おうと思っていたのに。
でも口にしたら、全てがクリアになったというか。
スッキリして、脳内がスッと整理されてゆく。
「そんなの、自分の気持ちを伝えたあの日に、ちゃんと理解してるっすよ」
「へ?」
「今の先輩にとって、恋愛より受験が大事なことも。先輩が恋愛自体に後ろ向きなことも。ちゃんとわかってるっす」
「……」
「けど、っんなかわいいこと言われたら、自制なんて効かないっすよっ」
「……ぁッ」
ひょいと軽々と両脇を持ち上げられ、彼の膝の上に体が瞬間移動した。
「やっと先輩の気持ち、聞けたっすね」
「っ…」
「最高のクリスマスプレゼントっす」
「っっっ」
ちょっときついくらいに抱きしめられる。
ガチガチの筋肉質だと思っていた自分の体が、彼の鍛え抜かれた体の前では、全くといっていいほどだ。
肩回りも首もガッチリしてて、空手云々以前に、彼が男性なんだと改めて実感した。
「抵抗しないんすか?」
「へ?」
「しないと、これ以上のこともするっすよ?」
「ふぇっ……?」
耳元に落とされた言葉に驚き、無意識に顔を上げると、彼の顔が、この間ちーちゃん達と話してたよりももっと間近にあって。
クリアになったはずの脳内に、ドンドンッと花火が打ちあがる。
「無防備すぎっす」
「っっ」
「俺を試してます?」
「……?」
試すって?
……あっ、自制心をってこと?
そんな余裕あるわけないじゃない。
男の人の膝の上に乗ったのなんて、小学校の時に、父親の膝の上に乗って以来ないんだから。