猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
左手を握る彼の指先が、そわそわと動く。
ゆっくりと手が持ち上げられ、自分の顔の前に来て、漸く理解できた。
「ここは、俺だけの場所だから」
薬指にそっとキスする彼。
そこは彼のために取っておく、大事な場所だと気付かされた。
「近いうちに一緒に買いに行きましょ」
「……これって、プロポーズとかじゃないよね?」
「え?あっ、さすがに今日じゃないっすよ」
「だよねっ」
ホッと胸を撫で下ろす。
婚姻届を突き付けて来たり。
『嫁に来ませんか?』だなんて言う彼だから。
突拍子もないことを言い出すかと思って、一瞬焦ってしまった。
結局、ピアスホールは未だに開けてない。
あの日、彼が『やっぱり俺には無理っす』って言い出したから。
そんなに焦らなくてもいいかな?と思って。
彼との関係を明白にするのが目的だったし。
今はこうして、ちゃんと付き合うことになったのだから。
「1枚だけ、写真撮ってもいいっすか?」
「え?」
「1日目記念に撮っておこうと思って」
「っっ」
「夢じゃないって、ちゃんと先輩と付き合ってるっていう証拠が欲しいんすよね」
こういうのって、普通女の子の方が言い出すもんじゃないの?
なんか先を越された感でもやもやする。
やっぱり女子力低いよね。
「後悔しない?」
「は?……何がっすか?」
「私みたいな可愛げもない子と付き合って」
「するわけないっすよ。念願叶って、今超有頂天なのに」
「してももう遅いんだからねっ」
「だから、するわけないって言ってるでしょ」
ちょっとイラっとさせたかも。
繋いでる手が強引に引き寄せられ、彼の腕に抱きしめらた。