猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
たった1歳だけど、この1歳差は大きい。
決して埋まることのない1歳だ。
「じゃあ、早速」
「ん?」
「俺も名前で呼んで」
「……ん」
「ん?」
「え、今?」
「今」
わざとらしく耳を傾けて来た。
私に呼んで貰いたいらしい。
「うーん、………虎太郎くんっ」
「えぇーっ、却下」
「へ?」
却下って、何?
「エロさが足んない」
「意味不明だよっ」
「もっとこうエモく」
「……」
何?
二次元の可愛いヒロインとダブらせてない?
名前は雫でも、可愛げもない身長174㎝の大柄女なのに。
「ん?」
再び耳を傾けて来た。
虎太郎くんがダメなら、こーくん?
それとも虎太くん??
「こ、……虎太くんっ」
「っ……いいっすね、その響き。仲のいい奴らも虎太って呼んでるんで、違和感ないっす」
「そう?」
合格点らしい。
年下男子のハートを射止めるのも、大変だ。
「今度、俺の友達に先輩の……雫のこと、紹介してもいいっす……やべっ、めっちゃムズッ」
「フフフフフッ、もう完全に定着してるもんね」
「最初の入りかして、女神と崇めてたんで、もう崇拝の念みたいな感じで、別次元の住人に話しかけてたから…」
「何それ……」
「『プラネットの秘宝』の初回ミッション、憶えてます?」
「……マーキュリーの涙?」
「よく憶えてますね!」
『プラネットの秘宝』とは、宇宙を題材にしたシュミレーションゲームだ。
初期アバターは普通男子なのだが、惑星(9惑星)の女神たちを攻略していくうちに、どんどんとイケメンに進化していくゲーム。