猛虎の襲撃から、逃れられません!(加筆修正中)
*
新人戦の前々日。
16時過ぎに虎太郎から『ちょっと出て来れる?』というメールが届く。
明日の午前中の新幹線で岡山入りするため、今日は早めに部活が終わったらしい。
上野駅の改札口で待ち合わせ。
雫は久しぶりのデートに心を弾ませていた。
「………虎太くんっ」
制服姿の彼は、改札口近くの壁に寄り掛かってスマホを弄っていた。
それがあまりにもカッコよくて。
思わず、見惚れてしまった。
「久しぶりの生脚だ」
「やだっ、変な言い方しないでよっ」
改札口付近にいるサラリーマンの視線が一瞬で向けられた。
久しぶりのデートということもあって、ショートパンツにしたのだ。
長身で脚の長い雫がデニムのショーパンにTシャツ、ロングカーディガンを合わせた恰好をすると、モデルかと思うほど似合っている。
「飯の前に、寄りたいとこがあるんすけど」
「ん、もちろんいいよ」
躊躇なく握られる手。
大きくてごつごつとした指が、雫の指先を絡めとる。
「めっちゃいい匂い」
「やだっ、クンクン嗅がないでよっ」
「俺以外の誰に嗅がせる気っすか」
「……そういう問題じゃないから」
一瞬考えてしまった。
嗅がせる、嗅がせないの問題じゃなくて。
人前で嗅ぐ行為自体が問題なんだってば。
3日前にちーちゃんとさっちゃんと買い物に行った。
大学に着ていく服を買うために行ったけれど、一番欲しかったのは『香水』。
今まで勉強一筋だった雫は、メイクも服も殆ど興味が無く。
親友2人が選んでくれた服を着まわしていた。
そんな雫が、いつもいい香りを纏っていた2人に、自分に合う香りを選んで貰ったのだ。
新人戦の前々日。
16時過ぎに虎太郎から『ちょっと出て来れる?』というメールが届く。
明日の午前中の新幹線で岡山入りするため、今日は早めに部活が終わったらしい。
上野駅の改札口で待ち合わせ。
雫は久しぶりのデートに心を弾ませていた。
「………虎太くんっ」
制服姿の彼は、改札口近くの壁に寄り掛かってスマホを弄っていた。
それがあまりにもカッコよくて。
思わず、見惚れてしまった。
「久しぶりの生脚だ」
「やだっ、変な言い方しないでよっ」
改札口付近にいるサラリーマンの視線が一瞬で向けられた。
久しぶりのデートということもあって、ショートパンツにしたのだ。
長身で脚の長い雫がデニムのショーパンにTシャツ、ロングカーディガンを合わせた恰好をすると、モデルかと思うほど似合っている。
「飯の前に、寄りたいとこがあるんすけど」
「ん、もちろんいいよ」
躊躇なく握られる手。
大きくてごつごつとした指が、雫の指先を絡めとる。
「めっちゃいい匂い」
「やだっ、クンクン嗅がないでよっ」
「俺以外の誰に嗅がせる気っすか」
「……そういう問題じゃないから」
一瞬考えてしまった。
嗅がせる、嗅がせないの問題じゃなくて。
人前で嗅ぐ行為自体が問題なんだってば。
3日前にちーちゃんとさっちゃんと買い物に行った。
大学に着ていく服を買うために行ったけれど、一番欲しかったのは『香水』。
今まで勉強一筋だった雫は、メイクも服も殆ど興味が無く。
親友2人が選んでくれた服を着まわしていた。
そんな雫が、いつもいい香りを纏っていた2人に、自分に合う香りを選んで貰ったのだ。