Good day ! 2
第二章 モテ男現る
「おはようございます。017便の藤崎です」
マネージメントセンタービルのディスパッチルームで、ディスパッチャーからフライトプランを受け取る恵真のもとに、広報課の女性社員、川原がにこやかに近づいて来た。
「藤崎さん、おはよう!今日はよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願い致します」
「あら、スカーフもとっても華やかでいいわね」
「あ、これで大丈夫でしょうか?初めて着けたので、よく分からなくて…」
恵真は胸元のスカーフを整えながら、自信なさげに尋ねる。
昨日テレビ電話で、他社で同じくパイロットをしているこずえに結び方を教わったが、やはりまだ慣れなくて、更衣室で何度も結び直していた。
「初めてなの?もったいない。よく似合ってるから、これからもどんどん着けてね」
「はい。ありがとうこざいます」
そう言われても、おそらくもう着けることはないだろうなと恵真は心の中で考える。
パイロットの世界はやはりまだまだ男性社会で、恵真は対等に見てもらえるよう、いつもどこか気を張っているところがあった。
髪もずっと肩上までの長さで、無意識のうちに女性らしさを封印しようとしているのかもしれない。
(でもいつか、大和さんと一緒に飛ぶ時に、スカーフにしようかなって思うかもなあ)
ふいにそんな事が頭をよぎり、恵真はいけないと気を引きしめる。
(仕事中に大和さんのことを考えるなんて。ちゃんと切り替えて集中しなきゃ!)
気合いを入れ直して、恵真はブリーフィングの準備を始めた。
ひと通り気象情報や整備状況などを確認し、内容を頭の中でまとめた頃、周りにいた女性達が急にざわめいて色めき立つのが分かった。
なんだろう?と皆の視線の先を追うと、一人の男性パイロットが入り口を入って来るところだった。
「倉科キャプテン!おはようございます」
カウンターの内側にいた女性社員が声をかける。
「おはよう!のぞみちゃん。今日の髪型も可愛いね。似合ってるよ」
「え、やだー!ありがとうございます!」
そのあとも次々と女性に挨拶され、その度に笑顔と褒め言葉を返している倉科に、恵真は呆気に取られた。
(す、凄い。あんなにたくさんの女性社員の名前を覚えてるの?)
しばらくポカンと眺めてしまったが、ようやく我に返って挨拶に向かう。
マネージメントセンタービルのディスパッチルームで、ディスパッチャーからフライトプランを受け取る恵真のもとに、広報課の女性社員、川原がにこやかに近づいて来た。
「藤崎さん、おはよう!今日はよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願い致します」
「あら、スカーフもとっても華やかでいいわね」
「あ、これで大丈夫でしょうか?初めて着けたので、よく分からなくて…」
恵真は胸元のスカーフを整えながら、自信なさげに尋ねる。
昨日テレビ電話で、他社で同じくパイロットをしているこずえに結び方を教わったが、やはりまだ慣れなくて、更衣室で何度も結び直していた。
「初めてなの?もったいない。よく似合ってるから、これからもどんどん着けてね」
「はい。ありがとうこざいます」
そう言われても、おそらくもう着けることはないだろうなと恵真は心の中で考える。
パイロットの世界はやはりまだまだ男性社会で、恵真は対等に見てもらえるよう、いつもどこか気を張っているところがあった。
髪もずっと肩上までの長さで、無意識のうちに女性らしさを封印しようとしているのかもしれない。
(でもいつか、大和さんと一緒に飛ぶ時に、スカーフにしようかなって思うかもなあ)
ふいにそんな事が頭をよぎり、恵真はいけないと気を引きしめる。
(仕事中に大和さんのことを考えるなんて。ちゃんと切り替えて集中しなきゃ!)
気合いを入れ直して、恵真はブリーフィングの準備を始めた。
ひと通り気象情報や整備状況などを確認し、内容を頭の中でまとめた頃、周りにいた女性達が急にざわめいて色めき立つのが分かった。
なんだろう?と皆の視線の先を追うと、一人の男性パイロットが入り口を入って来るところだった。
「倉科キャプテン!おはようございます」
カウンターの内側にいた女性社員が声をかける。
「おはよう!のぞみちゃん。今日の髪型も可愛いね。似合ってるよ」
「え、やだー!ありがとうございます!」
そのあとも次々と女性に挨拶され、その度に笑顔と褒め言葉を返している倉科に、恵真は呆気に取られた。
(す、凄い。あんなにたくさんの女性社員の名前を覚えてるの?)
しばらくポカンと眺めてしまったが、ようやく我に返って挨拶に向かう。