Good day ! 2
だがそれはすぐに現実のものとなる。

スケジューラーから急なシフト変更を告げられた恵真は、1週間後、大和と一緒に福岡に飛ぶ事になった。

コックピットに並んで座り、ブリーフィングをしている二人を川原が写真撮影する。

往路の福岡へのフライトを終えて休憩を取っていると、スマートフォンを見ていた大和が驚きの声を上げた。

「うわ、もうSNSにアップされてるぞ」
「ええ?もう?」

恵真も画面を覗き込む。

二人が並んで座っている笑顔の写真の下には…。

『日本ウイング航空初のパイロット夫妻が誕生しました!
本日が夫婦としての初フライトです。
息の合ったコンビネーションで、皆様を安全に目的地まで送り届けます。
本日もどうぞごゆっくり空の旅をお楽しみください』

ひえー!と恵真は、思わず頬を押さえる。

「か、川原さん。こんな文章を…」

それになぜ撮影の時、左手でサムアップするように指示し、何度も角度を変えて写真を撮っていたのかが分かった。

二人の左手の結婚指輪が写っていたからだ。

「やれやれ。仕事が速いな、川原さんは」

大和も肩をすくめる。

写真をSNSで紹介する事に、大和は最初渋っていた。
恵真がまた注目され、空港で追いかけられたら?と。

たが川原は、逆に恵真が既婚者だと知らせた方が追っかけも減るし、何よりこれからは堂々と大和が守ってやれるのでは?と大和を納得させた。

それにこの話は川原の一存ではなく、広報課の課長の意向だと言われれば、断る事は出来なかった。
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