Good day ! 2
「ハネムーンフライト?何ですか、それ」

福岡のフライトを終えた次の週。
オフィスの会議室で、大和と恵真は川原に呼ばれて説明を受けていた。

「年明け早々に発売が開始される、新婚旅行のカップルに向けてのプランなんです」

二人は川原が差し出した資料を覗き込む。

「ハネムーンと申告して予約して頂くと、色々な特典が受けられるんです。まず隣同士の席の確約、会社のマスコットベアのぬいぐるみを、花嫁と花婿バージョンでプレゼント、アメニティも特別仕様。それになんと!あなた方お二人のサイン入り、ハネムーンフライト搭乗証明書を発行するんです!」

………はい?と、川原のテンションとは真逆に二人は首をかしげる。

「何ですか?その、ハネムーンフライト、搭乗証明書って?」
「日付と便名、目的地の他に、機長と副操縦士、つまりあなた方ご夫婦の署名を入れてお渡しするんです。あ、別に公的な物じゃなくて。まあ記念品みたいな感じですね、結婚証明書みたいな」

はあ、と二人は気の抜けた返事をする。

「えっと、つまり…。俺達がまた一緒に飛ぶって事ですか?」
「そうなんです。行き先はホノルル。日程は、今旅行会社とも調整中ですが、おそらく3月の初旬になるかと」

旅行会社と調整中?と、恵真が尋ねる。

「それって、ホテルとパッケージにして発売するって事ですか?」
「そうなの。うちで取り扱うのは飛行機のチケットだけだけど、旅行会社が既に半分以上買い取ってくれる事になっていてね。で、その旅行会社は更にホテルと提携して、ハネムーン特典を付けて発売するみたい」

思いがけない大きな話に、思わず恵真は大和と顔を見合わせる。

「とにかくお二人は、普段通りに操縦して頂ければ大丈夫ですから。よろしくお願いします」
「分かりました」

それと…と、川原はチラリと大和の顔色をうかがいながら言葉を続けた。
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