Good day ! 2
「えーっと、機内誌にお二人のインタビュー記事を取り上げてもいいですか?」

上層部からのお達しなので、断られると私の立場が…と小さくなる川原に、大丈夫です!と大和が即答する。

「本当ですか?!」

川原が目を輝かせて身を乗り出した。

「ちょっと、佐倉さん…」

恵真が声をかけるが、大和は聞く耳を持たず川原に大きく頷く。

「もちろんです。会社の意向には従わなければいけません。我々は、いち会社員にすぎませんから」

そう言われると恵真も従うしかない。

「あー、良かった!じゃあすぐにインタビューの日を設定しますね。パイロットの制服姿で色々お話聞かせてください」
「はい!喜んで!」

妙に張り切る大和に、これはもしや、あの倉科キャプテンへの対抗意識がまだ?と、恵真は困った顔になる。

「あ、そうそう藤崎さん。会社では旧姓を使用するとの事だったけど、対外的な場面では新姓でも構わないかしら?」
「え?あ、はい。大丈夫です」
「ありがとう。じゃあインタビュー記事では、佐倉 恵真 副操縦士って紹介するわね」
「は、は、はい!」

恵真は思わず真っ赤になってうつむいた。

「あら?どうかした?」
「あ、いえ、あの。まだ呼ばれ慣れてなくて…」
「そうなのね。ふふふ、新婚さんだものね」

すると大和が、ポンポンと肩に手を置いて話しかけてきた。

「早く慣れてもらわないとなあ。だって君は、佐倉 恵真なんだから。はは!」

恵真は今度こそ、思い切り眉をひそめて大和を見た。
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