Good day ! 2
更衣室を出てからも、大和は倉科の言葉が頭から離れなかった。

(いつも軽いあの倉科さんが、恵真を本気で落とすだと?それだけの相手をやっと見つけただなんて)

思い出しただけでも、胸が苦しくなる。

(しかも気安く『恵真ちゃん』なんて…。おととい会ったばかりなのに、いつの間にそんなに仲良く?)

どうにも気になり、休憩室で会社のSNSを開いてみた。

コックピットで倉科と恵真が並んで座り、サムアップで笑っている写真があった。

確かに美男美女カップルといった雰囲気なのは否めない。

倉科は男の自分から見てもかっこいいし、恵真も華やかなブルーのスカーフがよく似合っていて、いつもより女性らしい。

(だからって、恵真は俺のものだぞ!)

思わず熱くなったが、職場でこんな事を考えるなんて、どうかしている。

大和は軽く頭を振って気持ちを落ち着かせた。

この写真を撮ったおとといの夜、長崎のステイ先から恵真は電話をくれた。

キャプテンと夕食を食べて、早めにホテルの部屋に帰って来たと言っていたっけ。

そのあと二人で他愛もない話をしてから、気をつけて帰っておいでと電話を切った。

(恵真はいつだって純粋な目で俺を見てくれている。大丈夫だ。何も心配することはない)

必死で自分にそう言い聞かせるが、やはり乱れた心はどうしようもなかった。
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