Good day ! 2
「野中さん?何やってるんですか?」
「あ、佐倉?いやー、ちょっと頼みがあってさ。今日1日、藤崎ちゃん借りてもいい?」
「は?ダメに決まってるじゃないですか」
「そう堅いこと言うなよー。頼むから、な?」
「ダメったらダメです!」
せっかくの恵真との電話を邪魔され、既にご機嫌斜めの大和は、頑なに断る。
「うっうっ、手塩にかけて育てた後輩に、こんな酷い仕打ちを受けるなんて…」
野中は芝居じみたことまで始めた。
「なんと言われてもダメです!」
すると恵真が控え目に声をかけてきた。
「あの、大和さん。野中さんは今日、女性に贈るプレゼントを買いに行かれるんです。それで、私に相談に乗って欲しいって」
女性にプレゼント?と、大和は怪訝そうに聞く。
「それは、野中さんの彼女ってこと?」
「やだー!佐倉ちゃん。もう気が早いんだから!」
「ちょ、野中さん!気持ち悪いので、それやめてください!」
大きな声で遮ったあと、恵真に話しかける。
「じゃあ、恵真がそのプレゼントを一緒に選ぶってこと?」
「はい、そうです。野中さん、何がいいのかと、とても迷っていらっしゃるので」
「ふーん。そのプレゼントを渡して告白するのかな?野中さん」
「そうみたいですよ。ね?野中さん」
「そうなのよー。ファイナルアプローチよ」
うぐっ…と、大和は野中の口調にゲンナリする。
「恵真。その妙なテンションの野中さんにつき合うの大変だな」
「うふふ。まあ、でも野中さんにはいつもお世話になってますし。それに私も野中さんが好きな人と結ばれて欲しいから、素敵なプレゼントを一緒に探してきますね」
「ありがとうー、藤崎ちゃーん!」
わっ!という恵真の驚いた声に、大和は野中の行動を察した。
「野中さん!恵真に抱きつくのは禁止です!」
「あはは!よくお分かりで」
「あははじゃないですよ!」
そして大和は、小さく恵真に呼びかける。
「恵真、スピーカーやめて耳にスマホ当てて」
「え?あ、はい」
「聞こえる?」
「はい、聞こえます」
大和はひと呼吸置いてから、恵真、とささやく。
「愛してるよ。たとえどこにいても。早く帰っておいで」
「わ、私もです。早く会いたい…」
ふふっと二人で微笑んだ時、またうしろから大きな声がした。
「あー、藤崎ちゃんがリンゴみたいに真っ赤になってる。佐倉のヤロー、分かりやすく愛をささやくんじゃないよ」
はあ、まったくもう、と大和はため息をつく。
「じゃあな、恵真。今度は一人の時に電話してきて」
「ふふ、分かりました。それじゃあ」
会話を終えて耳を離した時、奥さんお借りしまーす!と最後に野中の声が聞こえてきて、またしても大和はため息をついた。
「あ、佐倉?いやー、ちょっと頼みがあってさ。今日1日、藤崎ちゃん借りてもいい?」
「は?ダメに決まってるじゃないですか」
「そう堅いこと言うなよー。頼むから、な?」
「ダメったらダメです!」
せっかくの恵真との電話を邪魔され、既にご機嫌斜めの大和は、頑なに断る。
「うっうっ、手塩にかけて育てた後輩に、こんな酷い仕打ちを受けるなんて…」
野中は芝居じみたことまで始めた。
「なんと言われてもダメです!」
すると恵真が控え目に声をかけてきた。
「あの、大和さん。野中さんは今日、女性に贈るプレゼントを買いに行かれるんです。それで、私に相談に乗って欲しいって」
女性にプレゼント?と、大和は怪訝そうに聞く。
「それは、野中さんの彼女ってこと?」
「やだー!佐倉ちゃん。もう気が早いんだから!」
「ちょ、野中さん!気持ち悪いので、それやめてください!」
大きな声で遮ったあと、恵真に話しかける。
「じゃあ、恵真がそのプレゼントを一緒に選ぶってこと?」
「はい、そうです。野中さん、何がいいのかと、とても迷っていらっしゃるので」
「ふーん。そのプレゼントを渡して告白するのかな?野中さん」
「そうみたいですよ。ね?野中さん」
「そうなのよー。ファイナルアプローチよ」
うぐっ…と、大和は野中の口調にゲンナリする。
「恵真。その妙なテンションの野中さんにつき合うの大変だな」
「うふふ。まあ、でも野中さんにはいつもお世話になってますし。それに私も野中さんが好きな人と結ばれて欲しいから、素敵なプレゼントを一緒に探してきますね」
「ありがとうー、藤崎ちゃーん!」
わっ!という恵真の驚いた声に、大和は野中の行動を察した。
「野中さん!恵真に抱きつくのは禁止です!」
「あはは!よくお分かりで」
「あははじゃないですよ!」
そして大和は、小さく恵真に呼びかける。
「恵真、スピーカーやめて耳にスマホ当てて」
「え?あ、はい」
「聞こえる?」
「はい、聞こえます」
大和はひと呼吸置いてから、恵真、とささやく。
「愛してるよ。たとえどこにいても。早く帰っておいで」
「わ、私もです。早く会いたい…」
ふふっと二人で微笑んだ時、またうしろから大きな声がした。
「あー、藤崎ちゃんがリンゴみたいに真っ赤になってる。佐倉のヤロー、分かりやすく愛をささやくんじゃないよ」
はあ、まったくもう、と大和はため息をつく。
「じゃあな、恵真。今度は一人の時に電話してきて」
「ふふ、分かりました。それじゃあ」
会話を終えて耳を離した時、奥さんお借りしまーす!と最後に野中の声が聞こえてきて、またしても大和はため息をついた。