Good day ! 2
「それで広報課の方から頼まれたんです。明日、会社のSNSで女性パイロットを紹介する写真を撮るから、スカーフを着けてきて欲しいって」
ようやく話の続きを聞けたのは、あれから二人でしばらく抱きしめ合い、何度もキスをしたあとだった。
照れて顔を赤くした恵真が、大和のステイバッグを受け取って洗濯機を回し、ダイニングテーブルに夕食を並べる。
大和は久しぶりの恵真の手料理にホッとしつつ、幸せを噛みしめていた。
「SNSで紹介する写真?って、どういうの?」
「コックピットで機長と並んで座っている写真だそうです。短い文章を添えただけの、簡単なものらしいですよ。出発前のコックピットブリーフィングの時に撮らせて欲しいと」
「そうなんだ。ちなみに機長って誰かもう分かってるの?」
「はい。予定では倉科キャプテンだそうです」
え!と大和は思わず顔を上げる。
「大和さん、ご存知ですか?私はまだご一緒した事なくて」
「あ、うん。倉科さんは一つ上の先輩なんだ」
「そうなんですか?!だって倉科キャプテンは、つい先月機長になられたばかりだって…」
そこまで言って恵真は言葉を止めた。
大和が機長に昇格したのは確か1年半前のはず。
(ということは、大和さんは先輩よりも先に機長に…)
37歳で機長に昇格した倉科キャプテンも充分若くて優秀だが、それよりも遥かに大和は優れている事になる。
(そうよね。大和さんは社内きってのエリートパイロットって言われているんだもの。実際、操縦の腕前はピカイチだし。いいのかしら?そんな凄い方と私なんかがおつき合いしていて…)
両手で頬を押さえてうつむく恵真に、大和が、どうかした?と声をかける。
「あ、いえ、あの。なんだか申し訳なくなってきて…」
「は?何が?」
「だって大和さんは、とても素晴らしくて優秀な方なのに、私なんかと…。雲の上の方と私とでは、とても釣り合いませんし畏れ多くて」
「雲の上って、あはは!恵真だって雲の上の人でしょ?パイロットなんだから」
「そ、そういう意味ではなくて。あの…」
ますますうつむく恵真に、大和は箸を置いて真剣に話し出す。
「恵真、こっち見て」
恵真はおずおずと視線を上げた。
「俺がどんなに恵真を好きか、まだ分かってないな」
色気を漂わせた大和の瞳に捉えられ、恵真は言葉を失う。
「あとでしっかり分からせてあげる。楽しみにしてて」
そう言ってニヤッと笑う大和に、恵真は思わず息を呑んでおののいた。
ようやく話の続きを聞けたのは、あれから二人でしばらく抱きしめ合い、何度もキスをしたあとだった。
照れて顔を赤くした恵真が、大和のステイバッグを受け取って洗濯機を回し、ダイニングテーブルに夕食を並べる。
大和は久しぶりの恵真の手料理にホッとしつつ、幸せを噛みしめていた。
「SNSで紹介する写真?って、どういうの?」
「コックピットで機長と並んで座っている写真だそうです。短い文章を添えただけの、簡単なものらしいですよ。出発前のコックピットブリーフィングの時に撮らせて欲しいと」
「そうなんだ。ちなみに機長って誰かもう分かってるの?」
「はい。予定では倉科キャプテンだそうです」
え!と大和は思わず顔を上げる。
「大和さん、ご存知ですか?私はまだご一緒した事なくて」
「あ、うん。倉科さんは一つ上の先輩なんだ」
「そうなんですか?!だって倉科キャプテンは、つい先月機長になられたばかりだって…」
そこまで言って恵真は言葉を止めた。
大和が機長に昇格したのは確か1年半前のはず。
(ということは、大和さんは先輩よりも先に機長に…)
37歳で機長に昇格した倉科キャプテンも充分若くて優秀だが、それよりも遥かに大和は優れている事になる。
(そうよね。大和さんは社内きってのエリートパイロットって言われているんだもの。実際、操縦の腕前はピカイチだし。いいのかしら?そんな凄い方と私なんかがおつき合いしていて…)
両手で頬を押さえてうつむく恵真に、大和が、どうかした?と声をかける。
「あ、いえ、あの。なんだか申し訳なくなってきて…」
「は?何が?」
「だって大和さんは、とても素晴らしくて優秀な方なのに、私なんかと…。雲の上の方と私とでは、とても釣り合いませんし畏れ多くて」
「雲の上って、あはは!恵真だって雲の上の人でしょ?パイロットなんだから」
「そ、そういう意味ではなくて。あの…」
ますますうつむく恵真に、大和は箸を置いて真剣に話し出す。
「恵真、こっち見て」
恵真はおずおずと視線を上げた。
「俺がどんなに恵真を好きか、まだ分かってないな」
色気を漂わせた大和の瞳に捉えられ、恵真は言葉を失う。
「あとでしっかり分からせてあげる。楽しみにしてて」
そう言ってニヤッと笑う大和に、恵真は思わず息を呑んでおののいた。