Good day ! 2
だがそれからしばらくしても、大和は恵真に話を切り出せないでいた。
相変わらずすれ違いが多く、なんとか夕食だけは一緒に食べるのだが、落ち着いて話をする暇はなかった。
(それにどう切り出せばいいかも分からない)
悩んでいる間に海外フライトもあり、気づけば時間だけが過ぎていく。
そんなある日、ブリーフィングを終えてシップに向かう途中、遥か前方に恵真の後ろ姿を見つけた。
(あんなに離れてるのに、すぐに恵真だと分かるなんて。我ながら凄いな)
妙な事に感心しつつ、人波に紛れる恵真を目で追う。
機長と並んで、時折話をしながら歩く真剣な恵真の横顔を見つめていると、ふと同じ様な視線を感じた。
(誰かが恵真を見ている?)
あちこちに目を走らせると、壁際でスマートフォンを構えている、ひょろっとした痩せ型の男に目が留まった。
何度もシャッターを切って写真を撮っている、その男の視線の先を追うと…。
(まさか!あいつ、恵真を?!)
隣のコーパイに「悪い、先に行っててくれ」と告げると、大和は壁に沿って男に近づいていった。
男が目の高さに上げているスマートフォンの画面をうしろから確認すると、ズームでアップにされた恵真が写っていた。
大和の頭にカッと血が上る。
「お客様、いかがなさいましたか?」
必死で自分を落ち着かせようと、両手をグッと握りしめながら声をかけた。
「え、あ、いや、何も」
男はしどろもどろになる。
「何かお困りでしたら、スタッフをお呼びしますが?」
「いえ、大丈夫です…」
それは困るとばかりに、男はそそくさと去っていった。
はあ、と大きく大和はため息をつく。
(やはり何とかしなければ。一刻も早く)
大和は唇を噛みしめてから、足早にシップに向かった。
相変わらずすれ違いが多く、なんとか夕食だけは一緒に食べるのだが、落ち着いて話をする暇はなかった。
(それにどう切り出せばいいかも分からない)
悩んでいる間に海外フライトもあり、気づけば時間だけが過ぎていく。
そんなある日、ブリーフィングを終えてシップに向かう途中、遥か前方に恵真の後ろ姿を見つけた。
(あんなに離れてるのに、すぐに恵真だと分かるなんて。我ながら凄いな)
妙な事に感心しつつ、人波に紛れる恵真を目で追う。
機長と並んで、時折話をしながら歩く真剣な恵真の横顔を見つめていると、ふと同じ様な視線を感じた。
(誰かが恵真を見ている?)
あちこちに目を走らせると、壁際でスマートフォンを構えている、ひょろっとした痩せ型の男に目が留まった。
何度もシャッターを切って写真を撮っている、その男の視線の先を追うと…。
(まさか!あいつ、恵真を?!)
隣のコーパイに「悪い、先に行っててくれ」と告げると、大和は壁に沿って男に近づいていった。
男が目の高さに上げているスマートフォンの画面をうしろから確認すると、ズームでアップにされた恵真が写っていた。
大和の頭にカッと血が上る。
「お客様、いかがなさいましたか?」
必死で自分を落ち着かせようと、両手をグッと握りしめながら声をかけた。
「え、あ、いや、何も」
男はしどろもどろになる。
「何かお困りでしたら、スタッフをお呼びしますが?」
「いえ、大丈夫です…」
それは困るとばかりに、男はそそくさと去っていった。
はあ、と大きく大和はため息をつく。
(やはり何とかしなければ。一刻も早く)
大和は唇を噛みしめてから、足早にシップに向かった。