Good day ! 2
腕の中で眠る恵真を、大和は優しい眼差しで見つめる。

そっと額にキスをすると、ん…と恵真は頬を緩め、大和のTシャツの胸元をきゅっと握って身を寄せてきた。

その姿が可愛らしくて、大和は恵真の髪を何度もなでる。

(恵真も明日オフだったらな)

それなら、時間を気にせずもっと恵真を抱いていられたのに。

そう思うが、こればかりは仕方がない。
パイロットは何よりも体調管理が大切だ。
明日の乗務に備えて、恵真はしっかり休ませなければ。

せめて寝顔は心ゆくまで眺めようと、大和は温かく柔らかい恵真の身体を更に抱き寄せた。

(なんて幸せなんだろう。こんなにも純粋で健気な恵真が、今自分の腕の中にいるなんて。初めて結ばれた相手が俺だなんて)

こんなにも可愛くて、優しくて、無邪気で、愛おしくて…

数え上げたらキリがなく、そんな自分に思わず苦笑いする。

恵真はまるで自分が大和に相応しくないと思っている口ぶりだったが、大和にとっては逆だった。

身も心も汚れのない純真さを、恵真は自分にだけ捧げてくれたのだ。

(必ず幸せにしなければ)

抱きしめる腕に力を込める。

もちろん結婚を考えているし、二人の仕事のタイミングを見てプロポーズするつもりだった。

(俺としては、すぐにでも籍を入れたいのに)

だが恵真は、大和の職場での立場を考えると、自分とつき合っている事はまだ誰にも話せないと言うのだった。

エリート機長が、まだまだ新米の副操縦士とつき合うなんて、と。

納得いかなかったが、恵真が誰かに心ない言葉をかけられる可能性があるのは否定出来ない。

仕方なく大和もそれに従って、二人の関係は秘密にしていた。

(でもなあ、そのうち恵真を誰かに取られないかとヒヤヒヤする)

本人は全く気づいていないが、恵真を狙っているパイロットは結構いる。

恵真と一緒に飛んた機長は、大和が恋人だとは知らずに、今日のコーパイ可愛かったぞと、ご丁寧に教えてくれたりするのだ。

そのうち誰かが恵真に言い寄るのでは…と心配していたところに、今夜の恵真の話を聞き、大和の心は乱れていた。

(明日の機長、まさか倉科さんだなんて…)
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